暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十六話  攻防
[1/8]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
帝国暦 486年 9月26日    オーディン 新無憂宮   アマーリエ・フォン・ゴールデンバウム



夫が部屋に戻ってきた、表情には疲れが有る。でもその顔からは生気は失われていなかった。どうやらレムシャイド伯との話し合いは悪い結果ではなかったらしい。ここ最近悪い報せばかりが続いている、夫の様子にホッとする自分がいた。
「お話は終わったのですか」
「うむ」

夫は頷きながら私の隣に座った。侍女達に夫のためにコーヒーを用意させる。その後は彼女達に下がるように命じ人払いをした。一応信頼できるものだけを集めてはいるが不必要に危険を冒すことは無い。侍女達が居なくなると夫は一口コーヒーを飲んでホッと息を漏らした。

「如何でした、レムシャイド伯とのお話は」
「反乱軍、いや自由惑星同盟と言うべきだな。向こうの政府内部でも戦争を止めたいと考えている人間が居るようだ」
「まあ」
「或いはそうではないかと思っていたが間違ってはいなかったようだ」

夫の声は明るい。改革を行わなければ帝国は生き延びることが出来ない、改革に専念したいと考える夫にとって同盟との和平、或いは休戦状態は是非とも実現したい事だろう。なにより現状では帝国軍は反乱軍と戦える状態には無い、その事も夫に和平を考えさせている。

「それは良い報せですわ、心強いですわね」
「そうだな。しかし問題が無いわけでもない。我々の友人は少数派のようだ、そして有力者ではあるが最高権力者と言う訳でもない……」
「……」

幾分苦笑を浮かべている。
「まあ我々も多数派というわけではない。お互い様というところだな」
「そうですわね、味方が無いというよりはずっとましですわ」
私の言葉に夫は“そうだな”と言って大声で笑いだした。大丈夫だ、私達はまだ笑うことが出来る。

「もう一つ、明るい材料が有る」
「と言いますと?」
私の問いかけに夫がニヤッと笑った。悪戯っ子のような笑みだ、余程良い事なのだろう。

「ヴァレンシュタインは和平派に繋がっているらしい」
「まあ、本当ですの」
私の言葉に夫が頷いた。ヴァレンシュタイン、あの男が和平派に繋がっている?帝国兵をあれだけ殺した彼が……。

「どうも同盟の和平派を動かしているのはあの男ではないかな。フェザーンの一件を考えるとそう思わざるを得んのだ」
夫がちょっと小首を傾げるようなそぶりを見せた。
「……地球教という共通の敵を作ったという事ですか?」
夫が頷いた、そしてコーヒーカップを口元に運ぶ。一口飲んでフッと息を吐いた。

「地球教の存在が分かった今、帝国と同盟が戦うのは愚かであろう。徐々に徐々にだがあの男は帝国と同盟が戦い辛い状況を作り出しているようだ」
「なるほど」
帝国を改革せざるを得ない状況に追い込んだのも
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ