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メリー=ウイドゥ
第二幕その三
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第二幕その三

「その手を握って下さって」
「そして?」
「護って下さるものだと存じていますが」
「ふむ。ですが奥様」
 ダニロはまたハンナに言い返す。言葉のやり取りは微妙に棘もある。
「敵ならば」
「娘が敵だとも?」
「隠れているかも知れません。そう」
 悪戯っぽくハンナを見て述べる。
「娘の仮面を被って。そして」
「そして?」
「騎士を自分のものにしてしまおうと狙っているのですよ」
「賢い娘さんですこと」
 ハンナもまたとぼけてきた。
「そんな娘さんがいたら私ならば生涯の伴侶ですわね」
「おや、娘さんが敵なのですか」
「さて」
 またしてもとぼける。
「そうであるかも知れませんしそうでないのかも」
「見抜く目が必要だと」
「そういうことですわね。さて、それでは」
 じっとダニロの目を見てきた。ダニロも彼女の目を見る。二人は目で対峙するのであった。といっても双方共目は笑っていた。
「どちらでしょうか」
「奥様」
 しかしここでハンナを呼ぶ声がした。
「はい」
「どうぞこちらへ」
「あら、左様ですか。それでは」
「ええ」
 ダニロとは芝居めいて挨拶をして一旦別れた。ダニロは公国の若い娘達にしきりに声をかける四国の男達を背景に一人佇む。そこにまた男爵がやって来た。
「何か色々とお話中でしたな」
「大した話ではないよ」
 ダニロは彼にそう答える。
「別にね」
「それがいけないのです。しかしまあ」
 ここで少し呆れ顔で後ろを見て四国の男達を見る。鼻の下を伸ばしている彼等を見て少し溜息をついて述べるのであった。
「あの方々はまた。相変わらずですな」
「大国であればある程あれだね」
 ダニロは少しシニカルに述べる。
「欲深くなるね、何事も」
「全くです。といいますか」
 男爵も言う。
「あんなので真っ当な外交ができているのでしょうか」
「答えはもう出ているじゃないか」
 ダニロは四人に聞こえないようにして男爵に言う。
「彼等の外交を見れば」
「確かに」
 男爵もその言葉に頷く。
「見事な外交をしておりますな、全く」
「伯爵夫人も彼等には興味はないしね」
「それは何より」
「女がわからないと何もかもわからない」
 哲学めいたドンファンな言葉を述べてきた。
「当然外交もね」
「では女に溺れれば」
「よく言うじゃないか。女は遊ぶもの」
 これもまたドンファンである。といってもダニロの今の言葉には影はないが。
「だからね。今度もまた」
「左様ですか。それでは彼等はあれですな」
 相変わらずな四人を見て男爵も言う。
「外交に溺れていると」
「そういうことだね」
「言ってくれること」
 そこにハンナが戻ってきていた。そうしてダニロの得意げな言葉を聞
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