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ロミオとジュリエット
第三幕その四
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第三幕その四

「マーキュシオ、待ってくれ」
「ロミオ」
「キャブレット家の者達も。早まってはいけない」
「モンタギュー家の嫡子が何の用だ」
 ティボルトは剣呑な顔で彼を睨んでいた。
「それとも貴殿が相手をしてくれるのか?」
「違う」
 ロミオはそれを否定する。
「臆病風に吹かれたか?」
「そうでもない。無意味な戦いはしないだけだ」
 ロミオはティボルトに顔を向けて言った。怒りと憎悪で顔を燃え上がらせるティボルトに対してロミオは冷静で落ち着いたままであった。
「今は、いやこれからも」
「私を侮辱するつもりか」
「僕が何時君を侮辱した?」
「そこにいるステファノが我がキャブレット家を侮辱したのだ、それを許せると思うのか」
 グレゴリオも問う。
「どうなのだ」
「そうだ、ロミオ」
 モンタギューの側からはマーキュシオが出て来た。
「侮辱を受けたというのならそれは剣で返すもの。違うか」
「マーキュシオ、君まで」
「いえ、ロミオ様」
 ステファノも前に出て来た。
「一年前はモンタギューの門の前でこの者達はわれわれを侮辱してくれたのではないですか?あの時我々は一人彼等に殺されています」
「しかし」
「それで充分ではありませんか」
「全くです」
「ステファノの言う通りです」
 他の者達も彼に同意する。
「だからこそ我々は」
「キャブレット家の奴等に剣を」
「そういうことだ、ロミオ」
 ティボルトもキャブレット家の者達ももう退くつもりはなかった。
「君が剣を抜かないというのならマーキュシオ、来い」
「望むところだ」
 マーキュシオはさらに前に出て来た。
「ティボルト、天使達が君を待っているぞ」
「それは君に対してだな」
「ふん、ならどちらが天使に愛されているか」
「今わかる」
「待つんだ、マーキュシオ!」
「馬鹿っ、ロミオ!」
 咄嗟に二人の間に入ろうとしたロミオにティボルトの剣が迫る。マーキュシオは慌てて彼を突き飛ばした。剣はそれで態勢を崩した彼に襲い掛かってきた。
「うぐっ!」
「やった!」
「マーキュシオさん!」
 双方それぞれ声をあげる。そして今ロミオが胸から血を流し倒れ伏した友に駆け寄ってきた。
「僕の為に君は・・・・・・」
「どうして君はこの戦いを止めようとするんだい?」
 マーキュシオの顔には死相が表われていた。その顔で彼に問う。
「何故なんだ」
「だって僕は」
 ロミオは死に行く友に対して述べた。
「もうこの無益な戦いを終わらせたかったから」
「無益なのか。僕達のやっていることは」
「そうじゃないのかい?」
 ロミオは問う。
「血だけが無闇に流れて」
「それが争いというものさ」
 マーキュシオの言葉は達観したものであった。
「けれ
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