立志の章
第2話 「まさか……金(きん)か!?」
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―― 盾二 side 幽州啄郡 ――
意識の戻らない一刀を背負い、近くの邑まで搬送した。
あいにく邑には医者がいなかったが、近くの都に運良く五斗米道という医師がいるらしい。
「強行軍になるが、馬を使えば一日程で都までいけるはずだ。あいにくこの邑には馬がいないが……」
そう答えた村人に礼をいい、急いで都へと向かおうとする。
「本当にありがとう。ここからは俺だけでいい。三人にこれ以上迷惑はかけられない」
俺は三人の好意に礼を言い、一人で都とやらに向かうつもりだったが。
「そうは言うが、貴殿……土地勘はあるのか?」
「……」
ここがどこかもわかっていないのだ。土地勘などあろうはずも無い。
何しろここに向かう途中、GPSなどの照会をしようとしてもエラーの文字がでるだけ。
携帯通信機なども軒並み応答なし。
大規模な太陽フレアでも起きているのかと太陽を呪いたくなったほどだ。
「土地も場所もわからない者を、放り出しておけはせん」
黒髪の少女にそういわれてはどうしようもない。実際、今は一刀を助けるのが優先なのだ。
手を貸してもらえるのならば、今はそれを受け入れるべきだろう。
「いいから急ご? お兄さん!」
桃髪の少女が先導して急かす。
俺は苦笑しながらもそれに続いて歩き出した。
―― 劉備 side 幽州近郊 ――
村から二刻(四時間)ほど歩いた森の中。時刻はすでに夕方。
近くにあった大きな川の土塁で、少し休憩しながらご飯を食べることにしました。
食べ終わったお兄さん――盾二さんは、お兄さんの一刀さんの顔を布で拭いています。
……盾二さんって、顔立ちは一刀さんと似てないけど、かなりの美形だと思う。
一刀さんも、眠っている顔立ちは結構美形だと思うな。うん。
……あ、ううん! か、顔は関係ないよね! 助けを求める人を助けるんだから!
例えちょっと顔が悪くたって、その人が助けを求めてきたらちゃんと助けるよ!
ただ、まあ……顔がいいほうが『助け甲斐?』はあるかもだけど……
「そういえば……」
「ひゃいっ!?」
「ひゃい?」
盾二さんが唐突に話しかけてくる。びっくりした〜ちょっと不謹慎なこと考えていたのがばれたのかと……
「あ、ううん! な、なにかな?」
「ああ、俺の名前は教えたけど……君らの名前、聞いてなかったな、と思ってね。よければ教えてくれない?」
あ、そういえばすっかり忘れてた。
「あ、ごめんね。私の名前はね。姓は劉、名は備、字は玄徳だよ」
「りゅう……び?」
「うん!」
あれ? 固まっちゃった。
「えぇと……ごめん
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