暁 〜小説投稿サイト〜
売られた花嫁
第二幕その一
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第二幕その一

                   第二幕 二人の若者
 村の外れの森の側。そこに一人の若者が座り込んでいた。
 茶色の髪に赤っぽい顔をしている。童顔でそれ程男前とは言えない。顔立ちは悪くはないが何処かぼんやりとした感じを与える。大人しそうな顔だ。
 青い服に白いズボンを身に着けている。服から見るにわりかし裕福な生まれのようである。それ故か本当にぼんやりとした若者であった。
「お、そこにいたか」
 切り株の上に座り込んでいる彼に樵が話し掛けてきた。
「ヴァシェク、またどうしてこんなところにるんだい?」
「あ、おじさん」
 ヴァシェクは名前を呼ばれて顔を上げた。
「ちょっとね、考え事をしてたんだ」
「一体何についてだい?」
「うん、ちょっとね」
 ヴァシェクは樵に困ったような顔をして応えた。
「今僕のお父さんとお母さんが僕の結婚のことで話を進めてるよね」
「ああ」
「それがね、心配なんだ」
「どうしてだい?」
「僕の好きな人が相手じゃないんじゃないかなあ、って。もしそうなったらどうしよう」
「何だ、相手のことを知らされていないのかい」
「うん」
 ヴァシェクは力なくそう答えた。
「一体どんな人なのかなあ。エスメラダ先生だったらいいけれど」
 村の学校の先生である。ヴァシェクより少し年上だ。気が強いが頭の回転が早い美人だ。ヴァシェクは彼女に密かに憧れているのである。
「できたら先生と一緒になれたら」
「それは御前さんの親父さんとお袋さんに言うべきじゃないのかい?」
「うん」
 ヴァシェクはまた頷いた。
「僕だって言いたいけれど。何か怖いんだ」
「どうしてだい?」
「反対されるから。そうしたら何もかもお終いだし」
「おいおい」
 樵はそれを聞いて呆れたような声を出した。
「そんなんじゃあ何をやっても駄目だぞ。いいかヴァシェク」
 見るに見かねた樵が彼に対して語りはじめた。
「男ってのはなあ、度胸だ」
「そうなの?」
「御前さんにはまだないがな。度胸が全てなんだ」
 樵は胸をドン、と叩いてヴァシェクに対してそう言った。
「度胸なんだ、いいな」
「そうなんだ」
「それで女なんてのはな、押し通せばいいんだよ。一に押す、ニに押す」
「押してばかりなんだね」
「そうさ。三も四も押す、そして最後まで押し通すんだ。俺はそれで今のかみさんを手に入れたんだ」
 ここで自慢気に笑った。
「どうだ、わかったか」
「ううん」
 しかしよくはわかっていないようであった。首を傾げる。
「そうなのかなあ。僕にはよくわからないや」
「わからないでは樵どころかかみさんの貰い手もねえぞ」
「わかってるけど」
「じゃあ話を変えよう。心だ」
「心」
 ヴァシェクはそれを聞いて
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ