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とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、離反する
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勝った……勝った!俺達は勝ったんだ!!」
「うおおおおおお!」
「いよっしゃああああああ!」
「やった!やったぞっ!」
「Congratulation!Congratulation!」
「おめでとう……!おめでとう……!勝利おめでとう……!」
ある者は抱き合い、またある者は剣を掲げて喜びを表す。
みなが口々に勝利を称え合い、バラバラだったプレイヤー達がなんとも心地よい一体感に包まれた。

……と思われた、刹那。

「なんでや!!」

耳障りな濁声による関西弁が、それを遮った。

湧き上がっていた歓声が一瞬にして途絶え、広間を再び沈黙が支配する。
誰もが声の主へと目をやれば。そこにはディアベルらC隊メンバーに加え、E隊リーダーであるキバオウの姿があった。
リーダーであるディアベル以外、全員が全員、こちらに睨みを効かせている。

───やっぱり、そうなるか。

その視線に対し、僕は今更驚いたりはしない。
こうなるであろうことは、大体は予想済みだ。恐らく、キバオウが次に言うであろう言葉も。

「なんでや!なんでディアベルはんやなくて、あんたらみたいな卑怯もんが称えられとんのや!こいつは……この勝利はディアベルはんのもんやろが!!」
ほら……そうきた。
要するにキバオウは、ここまで指揮を執ってきたディアベルを差し置いて、僕たちぽっと出のアブレ組がおいしい所を掻っ攫ったのが気に入らないんだろう。
当のディアベル本人は困惑した顔でパーティメンバーを窘めようとしているというのに、それもお構いなし。
こういったタイプは一度こうなると、周りの意見に聞く耳を持たない。
C隊メンバーもそれに煽られてか、リーダーであるディアベルの制止も意味を成していないようだ。

「そうだ!アンタらはボスのドロップ品が欲しくて、だからディアベルさんがピンチになるまで黙ってたんだろ!?」
「はぁ……」
キバオウに便乗するように叫びだしたC隊のシミター使いに、思わず溜息が出てしまう。
まったく……くだらない。
この期に及んで誰が一番だとか、そんなことに拘って何になるんだか。
大事なのは、僕たちは一人の犠牲者も出さずに第1層を突破できた、ただそれだけのことなのに。

「だってそうだろ!アンタらは、ボスの使う技を知ってたじゃないか!」
「……、それで?」
「それで、だと!?アンタらが最初からあの情報を伝えていれば、ディアベルさんが危険な目に遭うこともなかったんだ!!」
僕の冷めた声に対し、激昂したように怒鳴るシミター使い。
どうやら彼らの中では、ディアベルが死に掛けたのは僕たちのせいということで決定済みらしい。
だけど、それはお門違いもいいところだ。
そもそも『ボスの使用スキルが変更されている可能性』は、昨日の攻略会議
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