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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
三章 トルネコおばさん
3-14洞窟でふた山目を当てる

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 体を覆い隠すような造りの(てつ)のまえかけは、戦闘の素人である商人などには、ぴったりした鎧などよりもかえって動き易い、と人気である。
 出産後、体型の気になりだしたトルネコとしても、気に入って購入する。
 他にも、見た目は悪いが値段の割に守備力の高い()帽子(ぼうし)、力さえあれば誰にでも使える(てつ)(たて)で防御を固め、消耗品の道具も買い揃えて、北東の洞窟へと向かう。


「あら、ここは。なんだか、様子がおかしいわね。」

 魔物がいるかと思って入った洞窟には、魔物でなく老人がいた。

「おじいさん。こんなところで、なにをなさってますの。魔物は、いないようですけれど。」

「わしは、東の港町に行くため、この洞窟を掘り始めたのじゃ。」

「あら、道理で。魔物がいないわけですわね。」

「船を手に入れて、世界中の宝を集めるのが、わしの夢じゃった。」

「まあまあ、素敵な夢ですのね。世界中の宝なんて、あたしも集めてみたいですわ。今のところ、あたしの夢は、夫婦でお店を持つことなのですけれど。」

「ふむ。まずは、足場を固めるのは大事なことじゃ。わしは、夢だけを見て走り続けてきた結果、お金も底を尽き、ただ歳を取ってしもうた。あと六万ゴールドもあれば、工事を再開できるのじゃが……。」

「まあ……。それは、また。」

「すぐにとは言わん。店を持ってからでいいんじゃ。お主も、夢を見ずには生きられぬ者とみた。今見ておる夢が叶った暁には、わしの夢を継いではくれぬか。」


 答えは急がないという老人と別れ、本来の目的の洞窟を目指す。
 老人のことも気になるが、まずは目の前の資金である。


 エンドール北東の洞窟は、段差が多く、一見すると取れそうもない宝箱が多くあったが、例によって宝のにおいに釣られて歩き回るうちに、見つけたスイッチを押すと、水が満ちて、(いかだ)で移動し宝箱を取れるようになった。

「あら。あんなところに人がいるわ。」

 水に囲まれ、孤島のようになった場所に人がいる。

 近くに宝箱があるけれど、においはしないみたいだし。変に絡まれても怖いわねえ、放っておきましょ。
 と、気にせずさっさと階段を下りる。

 階段の先には美しい祭壇があり、さらに美しい銀の女神像が安置されていた。

「あら、まあ。こんなところに銀の女神像が。こんなに簡単に見つかって。本物かしら。」

 これは持っていっちゃっていいのかしらねえ、他にも人がいたし、早い者勝ちということでいいわよね。
 値段がよくわからないけれど、これは本当に売れるのかしら。
 などと思いつつ、誰かに絡まれる前にと、さっさと女神像を仕舞い込み、洞窟を後にする。
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