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売られた花嫁
第二幕その七
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それではサインをしますね」
「ええ、どうぞ」
 彼はニンマリと笑っていた。そしてイェニークがサインをするのを見守っていた。
「これでよし」
「はい」
 サインをした紙をケツァルに見せる。これで決まりであった。
「本当にしやがったよ」
「信じられないわね」
「とんでもない奴だ」
 村人達は口々に言う。だがイェニークは涼しい顔をしたままだ。そのままケツァルに対して言葉を続ける。
「間違いないですね」
「はい」
 ケツァルもほくほく顔で頷く。
「これで間違いなく。いやあ、助かります」
「マジェンカはどうなるんだ」
 クルシナはそれを見て忌々しげに呟いた。
「呆れた話だ。こんなことがあってたまるか」
「その通りだ」
 村人達も彼と同じ意見であった。
「そんなに金が大事か」
「恥知らずが」
 彼等は口々にそう非難し続ける。だがイェニークはやはり涼しい顔をしたままであった。

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