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清教徒
第二幕その一
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第二幕その一

                  第二幕 許される婚姻
 エルヴィーラの心が乱れてから暫く時が経った。城の中は相変わらず沈み沈黙と絶望が支配するようになっていた。その中ジョルジョもまた暗い顔をしていた。
 今日もエルヴィーラを見舞う。だが彼女はやはり虚空を見てアルトゥーロのことを言うばかりであった。それに対して何もできない自分に対して暗く沈んだ怒りを抱くだけであった。
 部屋を出る。そして広間に入る。するとそこに従者が声をかけてきた。
「如何ですか」
 ジョルジョはそれに対して黙って首を横に振るだけであった。従者はそれを見て暗い顔になった。
「そうですか」
「ああ。変わりはない。今は休んではいるが」
「けれど目覚められたらまた」
「それは言わない方がいい」
 ジョルジョは従者に対してそう言った。
「言っても何にもならないからな」
「わかりました」
 彼は答えた。そしてジョルジョと別れてその場を去った。ジョルジョは城の大広間に向かった。質素でろくに装飾もないが広い部屋である。その中央にブルーノと数人の兵士達がいた。
「ジョルジョ様」
「そなた達はそこにいたのか」
「はい」
 彼等はそれに応えた。
「先程から。何かと心配でして」
「そうか。だが心配しても何にもならぬ。気持ちはわかるがな」
「しかし」
「よいのだ。今はそなた達の気持ちだけで。それ以上の贈り物は殿や私にはない。だから・・・・・・。今は何も言わないでくれ」
「わかりました」
 彼等はそれを受けて頷いた。
「ところで戦いの方はどうなったのだ」
「それは」
 ここでリッカルドが部屋に入って来た。
「ジョルジョ様、こちらにおられたのですか。探しましたぞ」
「戦いのことか」
「はい」
 リッカルドはそれに頷いた。
「クロムウェル卿から直々の達です」
「何と言っておられるか」
 そこにいたヴァルトンは問うた。だが何を伝えてきたのかはおおよそわかっていた。クロムウェルは厳格な男である。その彼の直接の命令ならばどのようなものか容易に想像がついた。
「カヴァリエーレ侯爵を討て、と」
「やはりな」
 それを聞いて頷くだけであった。
「それならば仕方ないか」
「はい」
 ジョルジョも頷くだけであった。
「それで宜しいですね」
「断ることができようか」
 今度はリッカルドに対してそう答えた。
「あの方の御言葉ならばな」
「はい」
 それはリッカルドにもわかっていた。表情を変えずそれに頷いた。
「出来る限り生かしたまま捕らえよ、とのことです」
「生かしたまま」
「断頭台に送る為です。おわかりになられましたか」
「うむ」
 苦渋に満ちた顔で頷く。
「閣下にお伝えしてくれ。わかったと」
「はい」

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