第一幕その八
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
カルド、そして従者や兵士達が残っていた。彼等は皆一様に暗く沈んだ顔となっていた。
「何ということだ」
ヴァルトンは俯いて首を横に振ってそう言うだけであった。
「こんなことになるとは」
「殿」
リッカルドが声をかけようとする。だがそれはとてもできなかった。
「いえ、いいです」
「済まない」
そう言うと彼は自分の部屋に帰ろうとする。だがそれを止めた。そして他の者に対して言った。
「どうしてこのようなことになったのかはわからない」
「はい」
「だが一つだけ言っておく」
その声は沈んだものであった。しかし確かなものであった。彼はその確かな声で言った。
「彼女の心を乱した者には神の裁きがあろう。それだけだ」
「私のことだ」
リッカルドはそれを聞いて心の中で思った。しかしそれは口には出せなかった。心の中で思うだけであった。
城は沈んだ空気に覆われてしまった。戦いの角笛の音と武具が鳴る音だけが聞こえる。だがそれは勇ましいものではなく地獄の沈んだ空気のようであった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ