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とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、睨まれる
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ディアベルが自分で直接確認したボスモンスターの姿と、アルゴの攻略本に書かれていたデータを照らし合わせ、それに基づいた作戦を組み立てていく。
と、相変わらず見事なリーダーシップだと密かに関心していると、不意に彼がこんなことを言い出した。

「それじゃあみんな、仲間や近くにいる人と、パーティを組んでみてくれ!」

───う、パーティかぁ……。

ディアベルの指示を受け、わいわいがやがやとパーティを組んでいく周りのプレイヤー達を見て、内心焦りが募っていく。
ボス攻略に臨む以上、パーティを組むのは当たり前だ。当たり前なんだけど……。
あの日からずっとシェイリと二人でやってきた僕には、知り合いらしい知り合いが一人もいない。
βテストの時のパーティメンバーとはとっくに縁が切れてるし、そもそも、この場に元βテスターがいるかどうかもわからない。

SAOのパーティは最大六人までで、この場にいるのが確か46人。
周りの様子を見るに、ほとんどのプレイヤーが既に仲間内で六人パーティを完成させてしまったようだ。
となると、残るは僕たち二人と、アブレたもう二人……。

「ねぇねぇ、パーティだって。どうしよう?」
「うーん……」
シェイリに袖をクイクイと引っ張られながら、僕は悩んでしまった。
ボスに挑むにあたり、今まで通り二人だけというのも心許ない。かといって誰かと組もうにも、ほとんどのパーティは定員割れ。
あとの二人がどうかはわからないけれど、この状況で余りが出るということは、そちらは既に二人でペアを組んでいるか、あるいはソロか……。

実のところ、僕が悩んでいるポイントはそこにある。
仮に相手がペアを組んでいるなら、お互いのパーティと合併して四人で組めばいいだけの話だ。
ただ、もしも残った二人がそれぞれソロプレイヤーだった場合、話は少し変わってくる。
どのMMOでもソロプレイヤーというのは必ずいるものだけど、その大多数が気難しい性格をしていたり、他人と組むのを極端に嫌ったり……と、それに大小の差はあれど、一癖二癖ある相手の可能性が高い。
ましてや今のSAOで、わざわざソロに徹する程のプレイヤーともなれば。こちらがパーティを組もうと誘っても、それに応じてくれるかどうか。

それに、ただでさえ前衛が苦手な僕と、派手に暴れ回る戦闘スタイルのシェイリ。
そこに恐らく一癖あるであろうソロプレイヤーを加えたら、どんな化学反応が起こるか───などど、僕がパーティについてあれこれ悩んでいるうちに。

「あ!あの子、一人だよ!」
「……、え?」
「ユノくん、わたし声かけてくるね!」
「ちょ、ちょっと待───!」
アブレた二人のうち一人を発見したらしいシェイリは、広場の隅でポツンと立っている人物に向かって走って行ってしまった。

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