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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一〜四章
二章 やんちゃ王子の観光
2-02気品と洗練のサントハイム城

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 気を取り直して、城内散策を再開する。


「王子!」

 礼拝堂に入ると、城付きの女性神官であるクリフトが駆け寄って来る。

「ばあやのブライ様から伺ったのですが、アリーナ王子様は一人旅に出るおつもりとか。」

 どこまで触れ回ってるんだブライは、という呆れはおくびにも出さず、何気ない顔をする。

「どうか、そのような無茶をなさいませんように!王子にもしものことがあっては、このクリフト……いえ、王様が、どんなに嘆かれることかっ!」

 瞳を潤ませて訴えるクリフト。

 これが狙いか、女の涙を利用するとは、汚い、さすがブライ、汚い。
 などと動揺するのを押し隠し、にこやかに応じる。

「はははっ、そんなに心配しなくても、大丈夫だよ。少し、書庫を見せてもらっても良いかな」
「まあ、お勉強ですね。さすがアリーナ様ですわ。どうぞ、ごゆっくり」

 そそくさと書庫に入る。


 適当な本を手に取り、室内を見回す。
 高い位置にある窓は、アリーナなら登れなくは無いだろうが、音をたてず、気付かれずとなると難しい。
 外の様子をあらかじめ確認することもできないし、ここは駄目だ。

「ん?これは」

 適当にめくっていた本の中から、アリーナの写真が出てきた。
 武術の鍛錬を隠し撮ったもののようだ。
 汗をかき、髪も服も乱れて、やや見苦しい。

 (しおり)代わりにでもしてるのか。
 わざわざこんなものを使わなくても良いのに。

 とは言え、一応は王子であるアリーナは、写真や姿絵を持たれることに抵抗は無いので、そのまま本を閉じると、棚に戻した。


 礼拝堂を出て、散策を続ける。

 城の正面玄関に近付くと、衛兵が立ちはだかり、行く手を遮る。

「王様のご命令により、ここはお通しできません。なにとぞ、お部屋に戻られますように。」

 正面突破するほど馬鹿なつもりは無いんだがなあ、馬鹿だけど。
 という不満は飲み込み、あくまでにこやかに応じる。

「そうだな、部屋に戻るとするよ。お役目、御苦労」


 新たな脱出経路の発見も無く、自室に戻る。

「やはり、ここしかないか」

 修理された壁の継ぎ目を確認する。

 学問をさぼった罰として、鍛錬場への出入りを禁止された腹いせに、何度も蹴りつけていた壁は、先日、遂に蹴破(けやぶ)ってしまった。
 分厚い城の壁を破った割には、やけに直るのが早かったが、見た目は綺麗に取り繕っていても、やはり応急処置であるらしい。叩くと、コンコンと軽い音がする。

 今の時間なら、部屋の側には誰もいない。

「よし、行くか。職人殿、許せ」
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