暁 〜小説投稿サイト〜
とあるβテスター、奮闘する
投刃と少女
とあるβテスター、赤面する
[9/9]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
ルはハリウッドスターよろしくニカッと笑い、元いた列へと戻っていった。
エギルさんありがとう。でも、できることなら気付かない振りをしていて欲しかったです……。


────────────


「───それじゃ、早速だけど、これから実際の攻略作戦会議を始めたいと思う!」
翌日。
前の日と同じように中央広場に集まった僕たちは、またしても噴水の縁に立つディアベルの声に耳を傾けていた。

あの後は特にこれといった問題も起こらず、12日2日の初会議は円満に終了、解散となった。
もっとも。円満に、とはいったものの、これといって現状に進展があったわけでもない。
最上階への階段が発見されたとはいえ、まだボス部屋も見つかっておらず、結局のところは対策の立てようがなかったからだ。

……だけど、翌日───今日、12月3日の午後。
ディアベル率いるパーティが、フロア最奥にある二枚扉を発見。中にいたボスの姿を拝んできたのだという。
彼の話によれば、第1層のボスは『イルファング・ザ・コボルドロード』という、身の丈2メートルはあるほどの亜人型モンスター。周囲には鎧を着込んだ同じく亜人型のモンスター、『ルインコボルド・センチネル』を三体従えていたそうだ。

更に、ボス部屋発見の報告を受け、開かれていた二回目の攻略会議の最中。
広場の隅で店を広げていたNPC露天商に、『アルゴの攻略本・第1層ボス編』がいつの間にか委託販売されており───

ディアベル達が見たというボスの特徴と、ガイドブックに記載されていた情報に差異が見当たらなかったため、この情報を本物と断定し、急遽としてボス討伐作戦を練ることとなった。
現在、その会議の真っ最中というわけだ。

「うー……」
「えへ、なんかどきどきするねー!」
β期間中もボス攻略には何度か参加していたものの、正式サービスになってから初めてのボス戦ということで、どうしても緊張を隠せなくなってしまう僕。
一方、隣に座るシェイリはというと、遠足前日の小学生のような浮かれ顔をしていた。
『緊張してないの?』という僕の問いに対し、『緊張はするけど、ボスって斬り応えがありそう』と笑顔で答えるあたり、もはや相当なバトルジャンキーの領域に片足を踏み込んでしまっているかもしれない。

───お父さんお母さんごめんなさい。おたくの娘さんは遠いところへ行ってしまったようです。

明日のボス戦をイメージしているのか、にっこにっこと笑みを浮かべているシェイリの姿を見て、僕は顔も知らない彼女の両親に心の中で詫び続けた。
すみません、僕が両手斧なんて持たせたばかりに……そしてもしSAOがクリアされても、決して娘さんに斧を与えないでください。危険です。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ