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こうもり
17部分:第二幕その八
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か」
 伯爵は笑って応えた。
「そうじゃないのかい?」
「確かに。では」
 何か言おうとした。しかしここで時計の音が鳴った。
「おや」
 公爵はその音を聞いて声をあげた。
「もう六時です」
「六時ですか」
「早いものです。夜が明けてしまいました」
 彼は言う。
「では皆さん、これで」
「ふむ。それでは」
 博士はそれを聞いて言う。
「帰るとしよう」
「やれやれ」
 伯爵はしたたかに酔った顔で溜息をついた。
「では行って来るよ」
「うん。それじゃあね」
 皆別れそれぞれの帰路につく。だが博士はその中で公爵に対して囁いていた。
「では次の舞台へ」
「次ですか」
「そうです。彼はもう行きましたし」
 伯爵の姿がないのを確認してから述べる。
「参りましょう」
「では。皆様」
 公爵はそこにいる全ての者に声をかけた。見れば入所の為にその場を去った伯爵以外は全員いる。いや、一人いなかった。それは所長であった。
「さてと、私も」
 彼も刑務所に戻るのだ。伯爵は入る側で彼は入れる側であるがだ。
「行くか」
「博士の次の催しです」
「おお」
「今度は何でしょうか」
「私と共に来て下さい」
 彼は宴の場の中央に来て述べる。
「皆様にお見せするのは」
「それは一体」
「こうもりの復讐です」
 彼は今それを高らかに宣言した。
「それをお見せしましょう」
「では今から」
 博士と公爵に連れられて何処かへと向かうのであった。大晦日の舞台はそのまま新年の舞台へと移ってさらに続くのであった。

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