暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode7 こんな自分にできること2
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険域。

 「シド離れろ!!!」
 「馬鹿、死ぬぞ!!!」

 それを見たプレイヤーたちから悲鳴が聞こえる、が。

 「……はな、れるかよ…っ!」

 それは出来ない。

 先程の攻撃、確かに凄まじいダメージ量だったが、俺という障害物のおかげで戦闘開始当初の一撃死の恐れがあるほどのものではなかった。そして俺が邪魔をしているせいで、尾骨は槍の最大の攻撃である突き技を封印されている。

 「っ、ぐっ、がはっ!!?」

 大きく持ち上げられ、今度は床に叩きつけられる。激しい衝撃。優秀なポーションがすでに黄色の注意域まで持ち直していたHPが、また赤の危険域…今度は一割を割り込む。だが、それでも。

 「うおおおおっ!!!」

 離さない。
 絶対に離さない。

 今使っている《デストロイ・ハンド》は、握り締めた時間に応じてその威力が上昇する技だ。さっき俺がぎりぎりのところでこの骨槍の目にも止まらぬ刺突攻撃を避け、左手を犠牲に槍を固定できたのは、はっきり言って単なる偶然。次に同じ攻撃が来た時に、同じことが出来るとは思えない。そして今辛うじて命を繋いでいるこのレアポーションはもう無いし、腕の手甲の罅もさらに広がっていく。

 もう、HP、耐久度、共に耐えられない。だから。

 「……逃がさねえ…!」

 これが、最初で最後のチャンスだ。
 絶対に。絶対に。

 「俺がっ、この槍を砕いて見せる……っ!!!」

 どこかから悲鳴が聞こえる。赤いダメージフラッシュ。HPがまた二パーセントづつの減少を始める。左手の手甲の耐久値も、みるみる削られていく。レアポーションの回復効果がなければ、恐らくもうとっくに死んでいるだろう。

 そして。

 「もう一回来たら死ぬぞ!!!」
 「一旦離れろ!!!」

 そう、もう一回叩きつけられれば、俺のHPはゼロになるだろう。

 悲鳴は絶え間なく響く。だがその中に、俺の決死の覚悟を理解した数人が、敵の体節の隙間に大技のソードスキルを次々と叩きこむ。骸骨ムカデのHPが、ガクリ、ガクリと減少していく。既に、奴もそのHPの大半を失い、HPゲージは赤く染まっている。

 (あと、少し……!)

 骨の罅は、もう誰の目にもはっきりと分かるほどにその範囲を広げている。だがそれでも、今にも壊れそうという程ではない。せいぜい耐久値の半分と言ったところか。けれど、あきらめない。

 絶対に、あきらめない。

 (見てろよ、ソラ……!)

 歯を食いしばり、その骸骨百足を見据える。

 ソラの託してくれた《カタストロフ》が、猛るようにその銀光を煌めかせる。握りしめる拳が、一層激しい蒼に明滅する。もう既に、今までに使った際の継続時間の何倍もの時間に及ぶ《デス
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