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とある誤解の超能力者(マインドシーカー)
第6話 別れ
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だよ。
いつもいつも攻撃を受けていれば、耐性も付くというもの。
残念だったねぇ」
牧石は、黒井の頭を軽くたたきながら、勝利宣言を行った。

とはいえ、牧石の心の中は、安堵を浮かべていた。
人の心を見透かされるというのは、わかっていても気持ちの良いものではない。
黒岩に初めて心を読まれたときから、思っていたことだ。

力を求めるため、サイランドで「超魔召喚エピソード0 〜新時代の幕開け〜」などをやりこんだり、偶然図書館で出会った黒岩に拝み倒して、サイリーディングを受けたりもした。

「超魔召喚エピソード0」のフェゾ様エンディングのあまりのむごさに「前作の感動を返せ」とわめいたり、黒岩に拝み倒したときに周囲から変質者と勘違いされたり、ゲームで全身筋肉痛になったりと、いろいろな災難があった。

ミナコから、冗談で薦められた「超能力でアイドルをプロデュースするゲーム」もあったが、おさげの眼鏡委員長風の少女をAAランクマイナスに仕上げたところで中断している。

いろいろあったが、牧石は、苦労のかいあって対サイリーディング能力を新たに身につけた。
牧石は精神を集中し、体の回りに外部からの攻撃を保護するという薄い膜をイメージで展開することで、アイテムに頼ることなく相手からのサイリーディング攻撃から身を守ることができる。

外部からの、精神的な攻撃に対して身を守るのであれば、頭部を中心に膜を展開すれば問題ない。
牧石が全身に膜を展開するのは、直接肌に接触する相手からも思考を読みとられないようにするためのものである。
これだけは、現在のサイキックシティにおける科学力でも対策ができないものである。


だから先ほどまでのように、黒岩に手を握られても、今みたいに正面から抱きつかれても牧石は平然としていられた。
いや、さすがの牧石も別の意味で、抱きつきには耐えられなかった。

黒井から、嗚咽の声がする。
「どうして、心を閉ざすの?
あたしに心を開いてくれたのは、牧石とお兄ちゃんだけだった。
あたしの能力は生まれつきのものだった。
あたしの能力のことがわかると、みんなあたしの事を避けていた。
あたしは、そんな世界が嫌だった……」
「黒井……」
「牧石は、お兄ちゃん以外で初めてあたしを受け入れてくれた。
受け入れてくれたと、思っていた。
・・・・・・でも、違ったのね!」
黒井は、激しく泣きながら牧石の胸をたたいた。

牧石は黒井の気持ちを知り、強く動揺した。
牧石は、自分の力を高めるため、自分の秘密を知られないため、心を読まれないように様々な特訓を自分に課してきた。

牧石は、そのこと自体は誤っているとは思っていない。
ただ、周囲への配慮が足りなかったということを理解した。
だから、牧石は黒井に理解を
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