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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―洗礼を受けし愚者―
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 二年生の修学旅行も終わって、しばらく経ったデュエル・アカデミアの深夜――二名の男女が、今や名実ともにホワイト寮となったオベリスク・ブルー寮へと続く道に立っていた。

 一人はラー・イエローの一年で最強とも噂される生徒、ティラノ剣山。
もう一人は、このデュエル・アカデミアという専門校へと飛び級をしてきたという、実力を証明する実績を持った女子生徒、早乙女レイ。

 立場も学年も違う二人ではあるが、自分たちが慕う人物の二年生たちのグループに押しかけている者同士で、彼らは学年が違うためにセブンスターズや三幻魔などには関わっていない、という共通点もあるために、良き友人としての付き合いをしていた。

 その二人が何故、一般生徒にとってはデュエル・アカデミアでも有数の危険地帯となってしまっているこのホワイト寮の近くにいるかと言われれば、ある人を待っているからだった。

 そして、その二人の目的の人物が――待ち構えていたから当然だが――森の向こうから姿を現した。

「……遊矢様」

 ずっとここで待っていた、彼女らの目的の人物であり、彼女が慕う人物でもある者の『黒崎遊矢』が姿を現した。
だが、その身に纏っていた青の制服は純白に染まっており、自らの名前を呼んできたレイを一瞥したのみで歩みは止めない。
そしてレイは思う――いつもならば、『様は止めろ!』とやや照れた顔で返してくれるはずなのに、と。

 そう、レイは自分が慕う黒崎遊矢を光の結社から救いに来た……取り戻しに来たと言っても良い。
光の結社に洗脳されてしまい、無口な文字通りの操り人形になってしまった黒崎遊矢を助け、修学旅行に行ってしまう前の彼に戻すために、中等部の友人や彼の友人の忠告を振り切ってここに来たのだ。

「遊矢先輩……デュエルしてもらうドン!」

 ティラノ剣山はレイに誘われて来たわけではなく、オシリス・レッド寮から自身のラー・イエロー寮へと帰ろうとした際、夜にホワイト寮へと一人で向かおうとするレイを発見し、それを追いかけて来たことによる。
無論、一人で行くなんて危険だから止めろ、と止めたもののレイは言うことを聞かず、放ってはおけないので付いてきたのだった。

 もちろん剣山もただ巻き込まれたからここにいるわけではなく、ナポレオン教頭のホワイト寮を使ってのオシリス・レッド寮の取り壊しを拒んでいる兄貴分、遊城十代に変わって遊矢を助けるためにここにいる。
それに加えて、生来人が良い彼自身も遊矢を助けることを心から望んでいた。

「……良いだろう」

 まるで幽鬼のように喋る遊矢にはかつての快活さはまったく感じられず、光の結社、ひいては斎王の洗脳が万丈目や明日香以上に念入りにされていることの証明だろう。

 遊矢一人に対して剣山とレイは自然と二人という
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