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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第69話 そして、ゼニスの城へ・・・
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なかったので、アーベルさんに教えてもらいましたが」
セレンは、眼鏡の位置を少し下げて、俺に視線を移す。
吟遊詩人は驚愕のまなざしを、今度は俺に向けてきた。
「セレンが言っているのは、あなたの質問の答えではなくて、たとえで使った俺達が知っている「なぞ」という意味を説明するのに使用した例題なのだが」

俺はため息をつきながら説明する。
ある意味、俺が悪いのだろう。
「あなたの表情を見る限る、偶然答えが同じであるようですね」
「そ、そうか」
吟遊詩人は、冷や汗を流しながらうなずく。
冷や汗をかいているのは、俺も一緒だが。

「確認するけど、俺達があなたが謎として出した場所に置いてある何かを報告すればいいのだね」
「え、ええそうです」
吟遊詩人がうなずいている。
顔がひきつっているのが誰の目にもあきらかだ。
「そして、見つけたものは、俺達のものにしていいのかな」
俺達の頭を試すということに対する報償として。

「・・・。がんばってください」
吟遊詩人は何とかひとこと絞り出して、俺達を見送った。


「アーベルさん」
勇者が俺に声をかける。
「今のなぞの答えはなんですか?」
俺が、問題をセレン達に出した時期は、3人で旅に出ていた時期だ。
勇者だけは答えを知らなかった。
「これから、見つけるアイテムと一緒だから、それまで自分で考えなさい」
「はーい。がんばります」
勇者は、元気よく声を上げる。

「ねえ、アーベル?」
「どうした、テルル」
俺は、ゆっくりとテルルに視線を移す。
「確か、他にも私たちになぞを出したわよね」
「そうだね」
「まさか、答えも一緒とは言わないわよね」
テルルは、吟遊詩人の話しぶりから、他にもなぞを出すだろうと推測したようだ。
そして、俺がほかに出したなぞも答えが偶然一緒ではないかと睨んでいる。
「そんなこと、わからないよ」
「そうね」
テルルは妙に納得した様子で俺を眺める。
セレンは、眼鏡をはずして
「そうだったら、すごいですね。すてきですね」
と、はしゃいでいた。

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