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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第68話 そして、天界へ・・・
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「だが、全力で挑む俺達の敵ではない」
俺は、蟹状のモンスターにイオナズンを唱えながら、勇者に声をかける。
「そうですね、アーベルさん」
勇者も最強呪文「ギガデイン」を唱えて加勢する。

ギガデインは雷撃呪文であり、天に選ばれた勇者にしか使えないと言われている。
大魔王を倒すまでは、自分は勇者では無かったと告白したが、俺にはとても信じられない。

呪文の詠唱により、雷の力が空中の一点に凝縮され、やがて敵前対に襲いかかる。よほど体力が無い限り、一撃でモンスターは倒される。
目の前にいる蟹状のモンスターも例外ではなく、電撃により動かなくなった。

「オーバーキルだろう。イオラで十分だ」
「全力でと言ったのは、アーベルさんです」
勇者は、横たわる蟹の死骸を眺めながら答える。
蟹状のモンスターは、守備力上昇呪文「スカラ、スクルト」を唱えるやっかいな敵だ。
ただし、呪文攻撃の耐性がないので、早期に呪文攻撃で倒すことが出来れば問題ない。
だが、イオナズンとイオラ程度の攻撃で倒せる相手だ。
過剰な攻撃は、MP消費の面からすれば非効率となる。

今回は、特技「忍び足」で戦闘を最小限に抑えていることと、目的地まで遠くないことから、「生存を第一に全力で戦う」と指示したのは俺だ。
新しく登場した、モンスターのHPなどわかるはずもない。
そう考えた俺は、これまでの方針で行くことを勇者に伝える。
「そうだったな。まだ、MPもある。ひきつづきガンガンいこう」
「はいっ!」
勇者は手を挙げて返事する。
「アーベルは、勇者に甘いわね」
「そうですね」
テルルとセレンは小さくつぶやいた。
「行きましょう、セレン」
「そうですね、テルル」
「勝手に先にいくな!」
俺は、慌てて2人の後を追った。

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