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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第55話 そして、竜の女王の城へ・・・
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は頭を下げると話を続ける。
「あなたは毎日眺めているから、そう思うかも知れませんね。でも、美しいことには間違いありません」
「・・・。ありがとう」
女性は赤くなった顔を少しうつむけたが、視線は俺を離さない。

俺は女性が少し落ち着いた事を確認し、話を続ける。
「こちらこそ、このようなすばらしい光景を毎日眺めることができるあなたがうらやましいです」
俺は、目の前にあるステンドグラスを指し示す。
「ステンドグラスの美しさもですが、日差しを受けて、廊下に映した光も幻想的です。言い伝えではここから天界への道が開けるとのことですが、私も素直に信じることが・・・」
話しながら、女性の表情に急激な変化を感じて思わず止めてしまった。

「そうですか、ステンドグラスのことですか・・・」
女性は、肩を震わせながら、絞り出すように声を出した。
「だ、大丈夫ですか」
俺は女性の様子が急変したことから、心配そうに声をかけた。
「大丈夫です!というかあなたのせいです!」
前後矛盾する女性の言葉を受けて、俺はなんと返事をしたらこ困惑し、
「す、すいません」
と、とりあえず謝る。

女性は少し落ち着きを取り戻したようなので、話をつづけた。
「あまり、あなたのようなすてきな女性と話をしたことがないので、もし失礼なことを言ったのなら謝ります」
「な、ならいいのよ」
女性の顔はまだ赤いようだったが、口調は小さくなったので、怒りは収まったと感じて、俺は帰ろうとする。

「失礼します」
「あの、また来てくれますか」
女性は帰ろうとする俺に声をかける。
「そうですね。大魔王を倒したら、もう一度ここに来たいと考えています」
「あなたの話のとおり、もしまことの勇者の称号を得た者がいたなら、その光のなかで天界に導かれるそうです」
「あなたなら、大魔王を倒し、称号を得ることができるかもしれません。お待ちしております。気をつけて」
さきほどまで怒っていた女性は、最初のときのように落ち着いた様子で見送ってくれた。


そう、俺はもう一度ここに訪れる必要があった。
大魔王ゾーマを倒したら、ここから、天界への道が開かれる。
そこの最奥に神竜と呼ばれる存在がいる。
神竜ならば、俺がなぜこの世界にいるのか知っているはずだ。
俺がこれからどう生きればいいか、考えるまえにぜひとも確認したい。

俺は城を出るとすぐに、ルーラを使用した。
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