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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第7章 終わりの始まり
第54話 そして、警告へ・・・
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「騒がしいわね」
「どうしたのでしょう?」
「誰かに聞くしかないでしょう」
俺達は、喧噪の中にいた。

俺は、いつものように着ぐるみをきて、ロマリア城へ向かっていた。
俺は、退位してから半年が経過しているので、着ぐるみを着なくても問題ないだろうといっていたが、セレンとテルルが反対した。
「可愛いから、是非着てください!」
いや、そういう目的で来るわけではないですから、セレンさん。
それと、タンタル。
着ぐるみは1着しかないからといって、疲れた身体を無理に動かしてキャットフライを狩りに行こうとするな。
この冒険が終わったら、いくらでも狩りに行くのを手伝ってやるから。
あ、やばい。死亡フラグだ。
「アーベル、安心はできないわ。
今でもアーベルに反感を持つ貴族達はいるのだから」
テルルさん、行っていることは論理的ですが、ニヤニヤした表情では説得力がありませんよ。
それに、着ぐるみイコールアーベルという認識がロマリア王宮内に浸透しつつある。
逆に正体がばれるだろう。
反論をしたかったが、時間がないため我慢して身につけて王宮までやってきた。
しかし、王宮に来るまでに気がついたことだが、ロマリア兵達の様子がおかしいのだ。

ロマリアに駐在するほとんどの兵が、城と町の入り口とを何度も行き交っている。
俺が、王に就任していた間、これほどの騒ぎは起きたことがない。
俺がロマリア王を退任した時の騒ぎでも、ルーラを使って国外に退去したことを知られていたので、ほとんど兵は動かなかった。


「いったいなにがあったのです?」
「ぬいぐるみを着ている奴に教えることは、・・・アーベル様」
城門で監視をしていた兵は俺を確認すると、慌てて謝った。
「静かに。俺が来たことがわかると、さらに騒ぎが大きくなります」
兵士はうなずく。
「王妃はいるかい?」
「謁見の間で、指揮をとっています。アーベル様が来られたら、すぐに顔を出すようにと王妃からご命令を受けております」
「ありがとう。顔をだすよ」
「はっ」
兵士は俺に最敬礼をする。
周囲の兵士達は、着ぐるみを身につけている者が誰かということがわかったようで、道を譲ってくれた。


「アーベルさん!」
「久しぶりだな、ジンク」
「あなたの仕業ですか?」
ジンクは、開口一番、隣の玉座にすわる夫の頭を指さした。
「王冠だと・・・」
「盗賊団が持っていたのでは?」
テルルが思わず口にした。

俺が、ロマリア王を退位した原因はこの冠が盗賊団に奪われたことが原因だ。
俺はそう言って退位した。
いまだに盗賊団が持ってるはずだ。
俺が丁寧にお願いしたからだ。


俺達の反応をみて、ジンクはため息をつく。
「どうやら、私の勘違いですね」
「説明してくれ」

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