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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第22話 そして、餌付けへ・・・
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俺たちは、ポルトガで一泊していた。
王宮の衛兵に使者として、ポルトガ王との会談を要請し、翌日の面談となった。
ポルトガ王の家臣からは、すぐにでも会談は可能な旨を伝えられたが、急ぐ話ではないとして、俺は翌日でもかまわないと答えていた。
テルルとセレンは、商店街を見て回っていた。


「断る」
俺の提案を聞き終えたポルトガ王は、断言する。
「まあ、そうですよね」
ジンクは頷く。
ジンクはロマリアの交渉責任者として俺のとなりにいるが、俺の友人でも部下でもない。

「確かに、勇者の派遣は魅力的ですが、ポルトガが独占している船を与えるほどではないですよね」
ジンクはお調子者だが、ロマリアの代表という立場をわきまえたのか、真面目な様子で話を続ける。
「さらに、アリアハンとロマリアを仲介しただけの我が国にも船を与えるなど、バランスはとれないでしょうね」
「そうでしょうね」
俺は人ごとのようにいう。
「今日のところは、これくらいで失礼します」

「待つがいい」
「なんでしょうか、ポルトガ王」
「今宵はうたげの準備をしておる。そちたちをもてなさねば」
「感謝いたします」
「後が怖いですが、お受けします」

俺の言葉にポルトガ王が反応する。
「後が怖いとは?」
「失礼しました。我が国からの使者は、自分だけですが、共に旅をするものがおり、自分1人が宴を楽しむと知れば、後で何をされるかと考えたしだいです」
宴での外交交渉が怖いという意味ではないことをほのめかす。
「それならば、そのものたちを宴に招こうか」
「お気遣い感謝します。しかしながら、旅のものも自らの立場をわきまえており、ポルトガ王に余計な気を遣わせたと知れば、返って後が怖くなります」

俺は、交渉が失敗した場合に、テルルとセレンに被害が及ばないようにする必要から、2人を呼ばなかった。
「そうか」
ポルトガ王は納得し、席を立とうとした。

「ああ、そうでした」
「どうしたのだ、アーベルよ」
「今日は、王に献上品がございました。今宵の宴にお使いいただければと」
「ほう、どんなものだ」
「こしょうでございます」
「こしょうとな?」


「なかなか変わった味じゃのう」
「左様でございますな」
ポルトガ王とその家臣は、俺たちが献上した香辛料を使った料理を味わっていた。

「お気に召しましたでしょうか」
「そうだな、まずくはないが、なかなか、変わった味だのう」
「左様でございますな」
俺は2年後のポルトガ王とは異なる評価に少し疑念を抱いたが、俺は計画通りに話を続ける。
「まあ、こしょうの真価は味よりも、効能にありますからね」
「効能とは?」
「一言で言えば、食料の保存に役立ちますね」
「保存だと」

「船旅は、時として長期
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