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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第11話 そして、量産化へ・・・
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うことじゃ?」
「失礼しました」
俺は老人にあやまる。
「いえ、魔法の玉が出来ていないなら、関係ない話でしたね。忘れてください」
「頼む、聞かせてくれ」
老人はせかすような表情で質問する。
「まあ、聞かれて困ることはありませんが」
俺はそう前置きして、話し始めた。

俺は、キセノン商会に事前に頼まれて、老人に魔法の玉の量産化を依頼するつもりだったと。
その場合、国よりも多く研究資金を出資すること。魔法の玉の売り上げにつき一定額を老人に支払うこと。その契約書を俺が持っている事を話した。
俺は、契約書を老人に見せつける。
老人は食い入るように契約書の内容を眺めた。
「ただし、条件がありまして」
俺は、老人に対して申し訳なさそうに説明する。
「私がこの目で、魔法の玉の効果を確認してからでなければ、契約することができませんから」
そういって、俺は契約書を袋にしまい込もうとした。
「待ってくれ」
「いえ、研究のお邪魔をするわけにはいきませんから」
俺は、セレンとテルルに帰るよう促した。

老人は決意して答える。
「・・・実は、出来ておる」
「えっ」
「でもさっきは、まだだと?」
テルルは老人に質問する。
「それは、それは、・・・」

「試作品が出来たということですね?」
俺は、老人の言葉に続けて解説する。
「ただ、まだ十分な試験が終わっていないから、王に献上するわけにはいかないと」
老人はうなずく。
「そうじゃ、そうなのじゃ。魔法の玉は失敗すると危険だから、安全が確認できるまで渡せなかったのじゃ」

そういって老人は奥の部屋に入り、しばらくするとボーリング玉ほどの大きさの玉を机の上に置く。
「これが、魔法の玉ですか」
「そうじゃ」
テルルの質問に老人がうなずく。
「すごいです」
セレンは尊敬のまなざしで老人を見つめる。

「わかりました。これから、いざないの洞窟で試してみます」
「おぬし・・・」
「上手くいったら、契約しましょう。いいですね」
「・・・。頼む」
そういって老人は俺に魔法の玉を手渡す。
「かしこまりました」
俺は使用方法を確認してから、老人に礼をいうと、研究所を立ち去った。



「アーベル。いったいどういう事なの?」
「あの老人は「ぬけめがない」ってことさ」
「ぬけめがない?」
テルルは自分の性格のことを思いだし、複雑な表情を見せる。

俺は、自分の考えを披露した。
キセノン商会に老人の事を調べてもらったところ、王が魔法の玉の研究を始めてから、2年間は大きな爆発音がしていたが、ここ最近は、音がしなくなったこと。研究を急ぐよう王の命令が届いてからも、爆発音がしなかったことから、すでに完成していると読んでいた。

「ではどうして、王に完成の
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