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ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
第10話 そして、鍵の入手へ・・・
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たのか」
テルルは顔を赤くして頷く。

どうやら、俺が童貞ではないといった部分が聞こえたらしい。
「まったく。あれは冗談だと続けたのに。そこは聞こえなかったと?」
テルルは頷く。
「なんという、都合のいい耳だ」
俺は肩をすくめた。

俺は少し考えて、テルルに向き合った。
「いいかい。キセノンのおじさんにはこのように答えてくれ」
「俺は早く結婚したいが、冒険が終わる前にテルルに手を出せば、キセノンのおじさんに殺される(経済的な意味で)。だから、今はおとなしくしていると。俺は結婚するために素早く冒険を終わらせることを考えていると。でも、キセノンのおじさんにそのことを知られると弱みを握られるので、キセノンには黙っていて欲しいと」
テルルは、顔を真っ赤にしていたが、満足そうに頷いた。

俺自身は、生活が安定するまで誰かと結婚するつもりはないが、ああでも言わないとキセノンを納得させることは無理だろう。
これで、テルルも安心してパーティの戦力となってくれるだろう。

俺はパーティ問題から解放されたと思ったそのときに、次の問題が発生したことに気がついて、思わずため息がでた。
「セレン。入ってきて」
テルルが驚いて部屋の入り口をながめると、そこには、鎖鎌を手にしたセレンがいた。
おそらく、俺がテルルに襲いかかると考えて、部屋の前で準備をしていたのだろう。

「セレン」
「セレン、俺の話をどこから聞いていた」
「・・・。「俺はテルルと結婚したい」あたりから」
「・・・」
「・・・」
俺は頭をかかえ、セレンは顔を赤くして俯いていた。
「さて、どこから話をすればいいのか」
俺は、セレンとテルルの説得を始めたが、両方が納得したのは、深夜に入ってからであった。



「おはようございます。お気をつけて」
そういって、宿屋の主人は俺たちを見送った。
出来た男だ。
「昨日はお楽しみでしたね」などと言うような店主であれば、問答無用で殴りかかる予定であった。

昨日の殲滅戦の成果か、2階にあがっても魔物の気配が感じられない。
たまに、柱の陰に隠れている魔物がいたが、こちらから急襲して始末する。
防御力が上がっているとはいえ、先手必勝である。
毒を与えたり、マヌーサと呼ばれる呪文を使ったりする相手を優先的に倒してゆく。


なんとか最上階にたどり着くと、部屋の中で1人の老人が眠っていた。
「起きてください」
「起きて〜」
セレンとテルルの2人がかりで老人をおこそうとする。
が、目を覚まそうとしない。
だが、俺は見抜いていた。
老人の顔つきがだらしなくなりはじめていた。
若い娘2人にかまわれるのが嬉しいとみえる。

「セレン、テルル離れて」
俺は必要もないのに、杖を構えると、呪文を唱えよう
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