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ラインの黄金
第二幕その九
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第二幕その九

「あの男の戯言を聞かれましたか?」
「勝手に言わせておけ」
 こうは言うがそれでも内心穏やかではないヴォータンだった。
「勝手にな」
「ああ、丁度いい時に」
 ここでまた声をあげるローゲだった。
「巨人達がフライアと共に戻ってきましたよ」
「神々もだな」
「はい。それでは話の再開ですね」
「うむ、そうだな」
 こうしてまた話になる。神々はヴォータン達のところに集まってそうしてそのうえで彼等に対して問うのであった。
「それで朗報は」
「ええ、こちらに」
 ローゲがフリッカに答えそのうえでアルベリッヒの宝を全て見せるのだった。
「ありますよ」
「そうですか。それではフライアは」
「いいことだ」
 フローはその宝とローゲの言葉で顔を穏やかにさせた。
「これでフライアが戻って来るのだから」
「そうだな」
 ドンナーも穏やかな笑顔で彼の言葉に頷く。
「全ての喜びがな。戻って来るのだ」
「ではフライア」
 フリッカが向こう側に囚われたままのフライアに対して声をかける。
「さあ。早くこちらへ」
「へえ、姉様」
 フライアもそちらに向かおうとする。だがそれはファゾルトが止めるのだった。
「待て」
「待てだと!?」
「何故だ!?」
 ドンナーとフローが今の彼の言葉に眉を顰めさせた。
「まだ離さないというのか!?」
「約束を違えるというのならだ」
「まだ身代金は支払っておらん」
 彼が言うのはこのことだった。
「全てはそれからだ」
「それはこれだ」
 ヴォータンがその宝を彼に指し示した。
「さあ、持って行くがいい」
「そうか。それではだ」 
 ファゾルトはそれを聞いてまた述べた。
「フライアを忘れようとさせるのならばだ」
「何だ?」
「このうるわしい花の様な姿がわしの目に見えなくなるだけの宝を積み上げてもらおう」
「ではそれだけのものを作れ」
 ヴォータンは忌々しげな口調でそれに返した。
「フライアの身体の大きさの枡をだ」
「うむ、わかった」
「それではだ」
 ファフナーも出てフライアの左右に杭を立てる。丁度彼女の高さだった。
「それではここにだ」
「宝を積み上げてフライアの姿を完全に消してもらう」
 二人は神々に対して告げてみせた。
「それだけの宝で満足しよう」
「それでいい」
「早くやってしまえ」
 ヴォータンは忌々しげにローゲに告げた。
「見るのも不快だ」
「わかりました。ではフロー」
「私か」
「悪いが手伝ってくれ」
 こう彼に頼むだった。
「少しばかりな」
「わかった。それではな」
「ああ」
「可哀想なフライア」
 フリッカは恥ずかしそうに立つ妹を見て嘆くのだった。
「それもこれも貴方が」
「また私だというのか
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