暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode6 風踊り、光舞う
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瞬を決して逃しはしなかった。

 「っ!?」

 突っ込んできたシドを見たアスナの顔が、驚愕に歪む。シドの体が、まるで冗談のように幾重にも分身したのだ。突進する影が、二重に…いや、三重にブレ、輪郭がぼやけていく。初めて見るスキルに、アスナの動きが、一瞬止まる。

 その、二度目の一瞬。
 それはシドにとって、大技を放つに十分な隙になった。

 薄赤いエフェクトフラッシュを纏った回転蹴りが、強烈にアスナの側頭部を捕え、吹き飛ばす。ダメージ軽減のために咄嗟に横に飛んだが、間違いなく強攻撃。アスナの頬に、有るはずの無い冷たい汗が伝ったように錯覚する。これが『初撃決着モード』だったなら、この一撃で勝負はついていた。

 (手加減できる相手じゃ、ない!)

 アスナの迷いが、一気に消えていく。

 この相手には、一瞬でも気を抜けば、負ける。
 完全に戦闘モードへと切り替えたアスナが、細剣を構えてシドの方を向く。

 その時に、シドは、そこにはいなかった。

 「っ!!!」

 咄嗟に、脳に走った勘に従って剣を振う。
 その鋭い斬撃が、死角を突いて振り抜かれたシドの拳と交錯した。



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