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アルジェのイタリア女
第二幕その四
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る会」
「その名もパッパタチ」
「パッパタチ!?」
 ムスタファはそのパッパタチを聞いて少し反応を示した。
「聞いたことのない名じゃのう」
「左様でございましょう。何故ならこの会は」
「選ばれた人達がそれぞれ推薦してしか入られないのですから」
「ふうむ」
 ムスタファはそれを聞いて顔を少し上げた。
「推薦だけか」
「はい、そしてこの度は」
「私達が旦那様を」
「入るには改宗しろとかは言わぬか?」
「勿論」
「そういうことは関係ありません」
 こう保障してみせた。
「そうか」
「そうでございます」
「よし、わかった」
 改宗の必要なしと聞いてムスタファはその巨体をゆっくりと起こした。
「それなら問題ない、話を聞くか」
「はい」
(やりましたね)
(うむ、いい流れじゃ)
 二人は目配せをして頷き合った。それからまたムスタファに話した。
「勿論女性にも」
「もてるとでもいうのか?」
「意中の人をその思いのままに」
「何と」
 これが彼にとっては心の琴線に触れることであった。
「それはまことか」
「はい」
 二人はにこりと笑って頷いた。
「如何でしょうか」
「それにわしが入るのじゃな」
「左様です」
「どうでしょうか」
「それにわしを誘ってくれると」
「今申し上げた通りでございます」
 にこりと笑って述べる。
「どうされますか?旦那様」
「意中の人を思い通りに」
 ムスタファの頭の中にある女性のことが思い浮かぶ。だがそれはイザベッラではない。
「悪くはないな」
「では」
「入られますか?」
「無論じゃ」
 ムスタファは満面に笑みを浮かべて言った。

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