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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
マイの正体
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の羅列なんだよ。そしてそのコードは、コンマ一秒ごとに中央サーバー、カーディナルに送られて戻ってくるの。更新プログラムとか、エラー検知プログラムとか、色々通ってね」

「………なるほど、そうか!BBシステムはそこに割り込むんだね。それで中央サーバーに行くはずのところを、行き先を使用者の脳に書き換える。並みのスーパーコンピューターなら一発でオーバーヒートしちゃうようなそれらを、加速のおかげで向上している計算能力を使って、無理やりに書き換える………」

「うん。その一定空間内では、使用者は神であるGMにもなれるんだよ」

マイの言葉が、今なら解かる。

カーディナルにとっては、確かにとんでもない切り札となりえるものだ。

全てをひっくり返すジョーカー。GMとプレイヤーという立場を、根底からひっくり返すもの。

「だからあの時、失われていたレンの両手両足は戻ったんだよ。レンが動きたいって願ったから」

「……………………………」

黙り込むレン。

確かに、あの時の自分はマイを助けるために足掻きたかった。

それをBBシステムとやらが検知したと聞いたならば、確かに納得のできる話だ。

そこまでレンが考えた時───

キンコーン

軽やかなチャイムの音が、ノエル名義のプレイヤーホームの中に鳴り響いた。一瞬ノエルが帰ってきたのかと思ったが、すぐに思い返す。

ここはノエルの家だ。自分の家に帰るたびにチャイムを鳴らしていたら、そいつはただのバカだろう。とすると───

「お客さんかな……?」

そう言ってレンは席を立つ。その傍らには、再びシャツを掴んで離さないマイ。

今の今までのメカニックな話しをしていた本人とは思えないような可愛らしさだ。かりっと揚げて食ったろか。

そんな猟奇めいた思想に囚われながら、軽い気持ちで玄関のドアを開けたレンの表情は固まる。同じく、隣にいたマイの顔も強張る。

陽光に照らされたうららかな玄関先に姿勢良く立つのは、真っ白な白衣に血のような緋袴という巫女服を着て、腰に一メートル半くらいもありそうな長刀というかけ離れた二つを着こなす、純和風黒髪ポニテ女性。

カグラだった。
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