コードギアスR1
0147話
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へと背を向け、ユーフェミアの部屋へと向かう。
「アクセル……姫様を、頼む」
ギルフォードの掠れるような声をその背に受けながら。
「エキドナ、お前はここで待っていろ」
「はい」
エキドナが頷いたのを確認し、扉を軽くノックする。
「コーネリア、入るぞ」
コーネリアへと一声掛けてユーフェミアの部屋へと入ると、部屋の中は暗く電気等も点いてはいない。部屋にある暖炉の火のみが部屋の明かりとなり、どこか幻想的な雰囲気を醸し出していた。
そしてコーネリアはその暖炉の前に座り込んで呆然としている。ユーフェミアが死んだというのに泣いた様子もない。
……いや、あれだけ溺愛していた妹の死だ。恐らくその悲しみが大きすぎて泣くに泣けないのだろう。
そのまま黙って暖炉の前へと移動し、コーネリアの横へと腰を下ろす。
「コーネリア、話は聞いた」
「……」
そう声を掛けるも、コーネリアはただ黙ったまま虚空へを視線を向けている。
「遅くなって悪かったな。俺がいれば……なんて言うつもりはないが、それでも心配をかけた。予想外の用事に手間取ってしまってな」
「……」
さて、ギルフォードにはコーネリアの事を任せろと大見得を切ったものの……一体どうしたものか。俺に出来るのはただ黙ってコーネリアの側にいる事だけだ。暖炉の火の明かりが淡く部屋を照らす中、俺はただ黙ってコーネリアの隣に座っていた。
「……」
「……」
時折暖炉の中で燃えている薪が上げるパチッという音が響く以外は、静寂に包まれているユーフェミアの部屋。そこでコーネリアと共にただ沈黙したまま時の流れに身を委ねる。
果たしてどのくらいの時間が流れたのか。10分や20分? いやあるいは1時間か2時間か。ただ沈黙の中、俺とコーネリアのみが存在する部屋の中で微かな声が聞こえてきた。
「アクセル……用事は、もういいのか?」
覇気に満ちたコーネリアの声とは思えない程に弱々しい声。だが、それでも間違いなくコーネリアの声だった。
「ああ。遅くなって悪かったな。ちょっと予想外に時間が掛かってな」
「全くだ。1日2日の休日が無断で1ヶ月近い休暇を取りおって」
そこからポツポツとだが他愛ない雑談をする。料理の事やTVの事。スポーツや本の事など本当にどうでもいい内容の話だったが、幾らかの気分転換にはなったのだろう。コーネリアも徐々にだが声の張りを取り戻してきたように見える。
そんな会話がどのくらい続いたのか。唐突にコーネリアが口を閉じた。
「どうした?」
「……何故だろうな? ユフィが死んだと聞いて、悲しい筈なのに全く涙が出ないんだ。もしかして、私は自分で思っている程ユフィの事を愛していなかったのか?」
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