SAO編
episode6 消えゆく炎と折れた意志
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戦闘が終わりを告げたのは、俺のHPゲージが既に赤の危険域に落ちてからだった。
もう残りは一割強、クリティカルポイントに攻撃が入れば一発でHPがゼロになるだろう。ただ、本当の本当に追い詰められたことで俺の集中力は更に高まって、この状況に入って既に3分が経過していた。奴らのHPも、黄色の注意域まで削られている。
そんな中、加速し続ける世界で、ザザとジョニーが同時に構えをぶらしたのだ。
距離をとられて反撃の手を出せない俺の前で二人が顔を見合わせ、頷く。
と。
「…クソっ、覚えてやがれよ!」
「……次は、ちゃんと、殺す」
恐らく、《フレンド・ホイッスル》の音が奴らに聞こえたのだろう。そしてその指示は「すぐさま撤退」だったようだ。ジョニーが脅えるように早口で転移結晶を使って撤退していく。
だが、残りの二人は無言で佇むままだ。
それは…それはどこか、無言で睨みあっているような。
「……どうした。ダンカン。速く、飛べ」
「マだ、ゴいつ、ゴろして、ナい」
「……ヘッドの、命令に、逆らう、のか?」
「……」
それだけ告げると、ザザも転移結晶でどこかへ飛んだ。残念ながら、そのしゅうしゅうとした聞き取りにくい声での発声のせいでどこに飛んだがまでは分からなかった。
そして、最後に残ったダンカンが離脱、
「ヴぉ、ヴぉおお。ミんな、アまい。ザからう奴、ゼん員、ゴろせばいい」
しなかった。
震えるような声で何かをつぶやき…ハンマーを構える。
こいつ…、戦うつもりか。三対一だったこの戦いを、一対一で。
一瞬正気を疑って…気付いた。
こいつはもう、とっくに正気を失っている。思えばさっきまでの戦いも、ただただ己の本能の赴くままに、相手を殺そうとしてきただけだった。
「ゴろす。ゴろす。ミんな、ゴろす」
小刻みに揺れる瞳を走らせて、ダンカンが唸るように言う。
いや、己の本能では無いのかもしれない。周囲の人間の異常な言動で、塗り替えられた価値観の中で…恐らくはPoHの洗脳に、狂わされてしまった。ただただ、デスゲームの、刹那の快楽を愉しむという唯一の事象を生きる意味として。
コイツ一人なら、俺でもどうにでもなる。
炎はまだ猛っていたが、冷静さは十分に保たれている。コイツ一人でも拘束する。
そう思っていた。
だが、そんな理性は。
「アの女、ヅまらなかった。アしを潰しても、ウでを潰しても、ビ鳴を上げなかった」
「…!!!」
奴の、くぐもった声を聞いた瞬間に、
「ヴぉ前は、ダのしませて、グれるか?アの女と、ヂがって!」
「……お前が、お前が」
燃え盛った炎で、
「お前が殺したの
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