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くらいくらい電子の森に・・・
第十三章 (2)
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ゃ、俺達が敵の女幹部を捕獲してHなお祭りに興じてるみたいだな。あはははは」
「あははははじゃないよ!こっ…こんな写メを女の子に送りつけて!あんた、エロ画像を見せて女の子が恥ずかしがるのを楽しむ変態なんじゃないか!?」
「…嫌いじゃないぜ、そういうのも」
「………エロ画像でも何でもいいから解いてください………」
八幡が泣きそうな声で呟くのを聞いて、流迦ちゃんがげらげら笑い出した。
「おっおい、そんな大口あけて笑うな、間違えて噛んだらどうする!…さ、口の中のものを出せ!!」
「…口の中?」
けげんそうな顔で、紺野さんを見返す流迦ちゃん。八幡の縄を解きながら、僕は内心ヒヤリとしていた。紺野さんにデータの受け渡しを思いとどまらせるために、『流迦さんは自決用の毒を奥歯に仕込んだ』と、嘘八百を並べ立てて涙まで流させたのは、僕だ。
――どうしよう。本気の紺野パンチを食らうかもしれない。いや、パンチなんて可愛いものじゃなくて『紺野殴打』かもしれない。
「お前が奥歯に仕込んだ毒だ、早く出せ!!」
紺野殴打に備えて身構えた瞬間、流迦ちゃんが薄笑いを浮かべた。
「…珍しく、勘がいいのね」
彼女はハンカチで口元を覆い、赤いカプセルを吐き出した。そしてちら、と僕の方を見た。

――本当だったのかよ!

…脚ががくがくして動けない。この計画が失敗してたら、流迦ちゃんは本当に毒のカプセルを噛み砕いてたのか、と思うと嫌な汗がどっと出た。
「ったく、こんなもん何処から…」
「薬品棚は、電子ロックにしないことね」
「全部済んだら、病院に進言してやる」
そう言うと、泣きそうになりながら手足をさする八幡に手を貸して、立ち上がらせた。
「お前も馬鹿なことにばかり巻き込まれやがって…で、なんだこれは。あいつらか」
「これは…この子が…」
立ち上がり、しくしく泣きながらボタンを掛ける八幡。漢文の授業で聞いたことがある『雨露をふくむ梨の花』という表現を思い出す風情だ。…泣いてた理由にさえ目をつぶれば。
「…おじさんたちが戻ってくるまで、手品ごっこして遊ぼうって…なんか、縛り方が変だなぁと気がついた時には、もうこんなで…」
「…お前、かわいそうなほど馬鹿だな」
「……放っておいてください」
自分が縛られていた縄を片付けながら、まだ涙をぬぐっている。僕は、ずっと気になっていた事を聞いてみた。
「なんで、あいつらに肩入れしたの。あなたは、そういう人に見えないんだけど」
「肩入れしたというか…その辺にいたから巻き込まれたというか…。私は伊佐木課長のアシスタントをしてて…そしたら、烏崎さんが、伊佐木課長からの直々の指示だから、アシスタントのお前も手伝えって…」
涙を拭いながら答えた。
「なんで、こんなことになっちゃったんだろう…」
「自業自得だ、馬鹿」
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