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渦巻く滄海 紅き空 【上】
四十八 木ノ葉崩し
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、『根』に属する者達は互いに目配せした。畑カカシを始め木ノ葉の上忍達は皆、突然の幻術に当惑している。試験官の不知火ゲンマも会場の異様な変化に気を取られている。

殺す(ヤル)なら今だ。

木ノ葉の暗部服に身を包む『音』の動向を窺いつつ、対戦場に目を向ける。隠し持っていたクナイの切っ先が鈍く光った。猛毒を滲み込ませたソレを標的目掛けて振り被る。
暗殺の対象――――うちはサスケに向かって。

放たれたクナイ。空を切り裂き、標的目指して突き進む。サスケはまだ気づかない。風を切る。
そして……―――――。










(……暗部の数が減っている…?)

いきなり会場全体に施された【涅槃(ねはん)精舎(しょうじゃ)の術】。
すぐさま幻術と見破ったものの、出し抜けに襲い掛かってきた敵の対応に追われる。火影の危機だというのに、あれだけ多かった暗部の姿が見当たらない。その不可解さに疑問を抱く。
しかし訝しく思う間も無く、身構える。カキンと刃物と刃物が搗ち合う音が鳴り響く中、彼は屋根を見上げた。

風影に連れ去られた三代目火影。つまりはそういう事なのだろう。

(…やはり条約なんてのは無意味だ)
無情な忍びの世界に嫌気が差す。けれど己もまたその世界に身を置く忍びなのだ。
そしてまた、大事な教え子を指導する先生でもある。

視線を巡らす。幻術に堕ちたナルと、辛うじて解いたサクラの無事な姿に、カカシはほっと胸を撫で下ろした。次いで対戦場に目を向ける。
青褪めた。
「…ッ、サスケ!!」

目標から逸れたのか、はたまた小競り合いから外れたのか。クナイがサスケ目掛けて飛んでゆく。
まさかサスケ本人を狙ったものだとも知らず、カカシは叫んだ。
呼び掛けにてサスケが顔を上げる。迫り来る銀を目に捉えたその時――。




クナイが掻き消えた。 




自分の身に何が起きていたか把握出来ていないサスケ。弟子の無事な姿を目にし、カカシは安堵の息を漏らした。直後、会場を見渡す。別方向から飛来してきたクナイが偶然にもサスケの命を救ったのである。
今のは本当に偶然か。

思案するも今はこの状況を打破するのが優先だ。一瞬芽生えた疑問は解決される事もなく、カカシの頭の片隅に残される。
そして彼はそのまま目の前の戦闘に身を投じた。










弾かれたクナイ。

虎視耽々と暗殺を狙っていた彼らは愕然と、あらぬ方向へ飛んでゆくクナイの軌跡を見送った。
同じ『根』であり、しかも同僚が暗殺を阻んだのだ。速やかに遂行された任務を台無しにされ、気色ばむ。クナイを弾いた同僚を彼らはすぐさま問い詰めた。

だが伝令役である彼から主の命令を言い渡され、逆に感謝の念を抱く。未遂
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