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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
イゼルローン哨戒任務
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十偵察隊司令部より通信。
 『訓練の成績見事なり。実戦での活躍に期待する』
 以上です」

 准尉の淡々とした報告に、他の艦より多い訓練申請を出して苦笑していた偵察隊指令の顔を思い出しながら、ヤンは苦笑しつつ准尉に話す。

「准尉。
 訓練のレポートと一緒に私の名前で返信を送ってくれ」

「了解しました」

 無言で文面を作り出す准尉から視線をそらすと、そこにいたのは副長のパトリチェフ大尉。
 上官とはいえ、経験からすればはるかに上にあるパトリチェフ大尉に対してヤンは敬意を払っていた。
 そんなパトリチェフ大尉から出た言葉はあくまで軽い苦言という所。

「艦長。
 返信ぐらい自分で考えたらいかがですか?」

「副長。
 自慢じゃないが、私の返信だとけっこう人を怒らせる事が多くてね。
 円滑なコミュニケーションというやつだよ。
 で、副長から見て、実戦に投入できるレベルだと思うかい?」

 できないものは人に任せるのが人生のコツ。
 それはパトリチェフ大尉も分かっているので、各ブロックから送られたレポートを手元の画面に出して、パトリチェフ大尉がヤンの質問に答える。

「大丈夫でしょう。
 他の隊の訓練レベルと比べても問題ないレベルですし」  

「よし。
 休憩の後に、各ブロックの仕官を集めてくれ。
 実戦に向けて最後のミーティングをしよう」




「我々の初任務は第十偵察隊の一隻としてイゼルローン方面への偵察です。
 第十偵察隊は戦艦一隻、巡航艦二隻、駆逐艦240隻によって構成され、イゼルローン回廊の偵察が目的のため、その殆どを単独行動になります」

 宇宙はとにかく広い。
 その為、この程度の数での偵察となると、ほとんどが単艦行動になってしまう。
 手を上げて発言を求めたのは戦術長を勤めるアッテンボロー中尉だった。
 実際の武器使用などは彼が管理するので、戦いたいのが顔に出ていたりする。 

「艦長。
 敵と出会ったら、戦ってよろしいので?」

「駆逐艦一隻で倒せる敵ならばね」

 相手がいる。
 つまり、帝国軍が侵攻艦隊を率いている場合、偵察もその確実性を考慮して複数体制にすると言っているのだ。
 と、なると、平時の偵察体制で単艦で航行しているこちらは勝てないから、逃げると暗に言っているのだった。
 帝国と同盟では、基本的に軍艦の性能に差がある。
 領内の反乱に対応するために惑星降下能力を持つ帝国軍軍艦はそれにリソースを取られて、攻撃性能が同盟に比べて一割ほど落ちているのだ。
 更に、ワープ能力を省いた護衛艦と当たった場合はその性能差は三割まで広がり、エル・ファシル会戦では同盟護衛艦の奮闘が勝利に貢献したと言っても過言ではない。
 この性能差は
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