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英雄伝説 零の軌跡 壁に挑む者たち
4話
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ランディ」

警備隊の詰め所であるベルガード門の駐車場で青髪の中年警備隊長ダグラスが今自らの棒術で叩きのめして膝を突く警備隊服の赤毛の青年ランディに向かっている。
お互いに息を切らして汗が噴出しながら棒状の武器を持ち先端には鉄製の刃とそれに衝撃波を生み出すだけの小型の導力発生装置が付属しているスタンハルバートという武器だ。

「旦那、もうちょっと頼んます。あと少しで完璧にモノに出来そうなんで」

ランディが言うとダグラスは笑って答えた。

「だろうな。この短期間で一番上達してるぞ。今じゃ俺の次ぐらいに上手いからな。飛ばされる前に一人前にしてやるわ!そらっ!」

巨漢のダグラスが両手でスタンハルバートを振り回し力と技でランディを追い詰めていく。
ランディも背が高いが相手に比べれば少し背が低く体も一回り小さい。力で来られれば追い詰められて間一髪攻撃捌いて時に隙を見つけては反撃し、しかしお互いに譲らない攻防一体の動きに見ている警備隊員たちから歓声が上がる。
特にハルバートの刃同士がぶつかればバチバチと火花が散る度に歓声が上がるのだ。

今使っているスタンハルバート自体は訓練用に刃の部分が潰されているので本来の威力より数段下がっているが、小型導力機が発生させるのは実戦使用と同様のもので、勢いをつけて振り回せばそれだけで致命傷を与えられる。
そして今戦っている二人は長期戦で導力を切らさないように打ち合っている時だけ導力を発生させており、その技量の高さが際立っていることがわかる。
そして火花が散った一瞬の攻防で生じた僅かな隙にダグラスはランディの腕にハルバートを叩き込む。
バチンという打撃音とそれを食らって呻いたランディの声に、ついに決まった、観戦している周囲の者たちがそう思った一瞬後、バチンっと同じ打撃音がして足に食らったダグラスが膝をついた。

「いてええぇな〜、ダグラスの旦那、片手でその動きとか本気ですか?」
ハルバートで体を支え腕を押さえているランディが抗議した。

「お前も出力を最大にしてたじゃないか」

そう言いつつ立ち上がると何度か体を動かしてそれほどでもない様子のダグラス教官はランディを助け起こした。

「しかし食らうからって片腕を犠牲にするのは良くないぞ」

「旦那相手に普通にやれば読まれちまうから連携を組んだだけですよ。足は大丈夫っすか」

「訓練用で致命傷を食らうほど柔じゃねえよ。だが、本気で一本貰うのは久しぶりだ。よし、これでお前のハルバートの資格試験は終了だ。俺の最後の生徒が一番の優等生とはな。正式に警備隊員だ。ランディ・オルランド」

観戦してる警備隊員からちょっとした歓声が上がり、大汗を掻いている二人に飲み物とタオルが渡されると一緒に喜んでいた。

「これから正式な仲間だ
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