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蝶々夫人
第三幕その二
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第三幕その二

「私の言ったとおりだな」
「まさか。こんなに」
「だから言ったんだ。私が」
「こんなことになるなんて」
 次第に俯いてきているピンカートンだった。鈴木はそれを見て変に思うのだった。
「一体何が」
「本当のことを言うべきだ」
 シャープレスは厳しい声をピンカートンにかけた。
「それが勇気というものだ」
「それが」
「あの、どうかされたのですか?」
 何を話しているのかさっぱりわからず二人に問うのだった。
「一体何を」
「君が言えないのなら私が言おうか」
「いえ、それは」
 だが二人はその鈴木の前でまだ話をするのだった。鈴木はさらに話がわからなくなってきていた。首を傾げ眉を顰めさせるのであった。
「私の方から」
「何があったんですか?んっ!?」
 ここで。丘の上にもう一人いることに気付いた。それは。
「女の人?」
「そうだ」
 シャープレスが鈴木に答えた。
「彼の奥さんだ」
「奥さん!?その方でしたら」
 鈴木は最初それこそ蝶々さんだと思った。しかしそれは違っていた。
「違う」
「違う!?どういうことですか?」
「彼は。アメリカで正式に結婚したんだ」
 そう鈴木に告げる。ピンカートンは話せなかった。俯いてしまいそのままだった。見ればそこにいるのは白い洋服を着た茶色のふわふわした毛に緑の目を持つ白い肌の女だった。整った、人形の様な顔をしてそこに立っている。どう見ても海の向こうの女であった。
「あの方が。嘘ですよね」
「鈴木さん」
 信じようとせず自分に問うてきた鈴木にまた答えるシャープレスだった。
「私が今まで嘘をついたことがあるかい?」
「ではやっぱり」
「その通り。ケートという」
「ケート・・・・・・さん」
 名前を聞いても信じられなかった。言い換えると信じたくなかった。鈴木は今自分の目の前で起こっていることを信じたくはなかったのだ。
「朝早くやって来たことにも理由があるんだ」
「理由が。ですか」
「そう。鈴木さん」 
 あらためて鈴木に声をかけるシャープレスだった。
「貴女の力が欲しいのだ」
「私の力がですか」
「そう。慰めようのないことなのは私もわかっている。しかし」
「しかし?」
「子供のことは考えなければならない筈だ」
 シャープレスが言うのは子供のことであった。彼が思うのはそれしかなかった。
「あの時のままだなんて」
 ピンカートンはその横で家を見ていた。その顔には深い悔恨がある。あの時のような軽薄さはもう何処にもなかった。消え果ててしまっていた。
「この花達の香りが僕を包み込む。激しい後悔の中に沈めてしまう」
「ケート夫人はいい方だ」
 シャープレスはその彼にあえて何も声をかけず鈴木に言葉をかけ続ける。
「だからきっとあの
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