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カヴァレリア=ルスティカーナ
第二幕その四

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第二幕その四

「酒のせいだから。それじゃ行って来るよ」
「あ、ああ」
「じゃあね」
 最後に母を抱き締めた。そして重い足取りで家を後にする。それが最後であった。
「一体どうしたって」
「お母さん」
 丁度トゥリッドゥと入れ替わりにサントゥッツァがやって来た。
「サンタ」
「トゥリッドゥを見なかった!?」
 彼女は狼狽した声と様子で尋ねる。
「トゥリッドゥなら今出て行ったけれど」
「早く止めないと」
 彼女は家を出た。
「どうしたんだい?そんなに慌てて」
「決闘よ」
「決闘!?」
「トゥリッドゥがアルフィオさんと。このままじゃ」
「ちょっと、それ本当かい!?」
 驚いて問うた。
「本当よ。早く行かないと大変なことになるわ」
「場所は!?」
「確か」
 サントゥッツァは記憶を探る。焦っていてそれが中々出ない。
「野菜畑の裏の」
「野菜畑の」
 その時だった。その野菜畑の方から銃声が鳴り響いた。
「!?」
「まさか!」
 二人はその銃声を聞いて動きを止めた。完全に固まってしまった。
「若しかしたら・・・・・・」
「お母さん、落ち着いて」
 暫くして二人の前に一人の村の女が駆けて来た。息を切らしていた。
「まさか・・・・・・」
 二人は彼女の姿を認めて青い顔になった。
「そこにいたのね」
 その女もまた蒼白になっていた。そのうえで二人に対して言う。
「今野菜畑の裏で」
「トゥリッドゥが・・・・・・」
「ええ・・・・・・」
 それが答えであった。他には何も言う必要はなかった。
「残念だけれど」
「そんな・・・・・・」
 ルチーアはその場に崩れ落ちる。だがサントゥッツァがそれを支えた。
「私は悲しんでは駄目」
 泣きそうな顔になってもそれを必死にこらえていた。
「全ては私のせいなのだから」
 復活祭のシチリアは血で赤く染まった。遠い昔の話である。今この話は多くの人々の心に残っている。シチリアの田舎のしがない伊達男の話。命が羽根の様に軽い話。そこにあった嫉妬と後悔の話であった。


カヴァレリア=ルスティカーナ   完


                  2006・6・8

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