暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode1 ソロプレイ野郎共
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 そこにいた男の名は。

 「キリトおおおおおおおおおおおおおっ!!?」
 「ふざけんなシドおおおおおおおおおっ!!!」

 細い岩壁を挟んで、二人分の絶叫が響き渡る。一人はシド…言うまでもなく、俺。

 そして一人は、キリトだった。

 攻略組でも有数の力を持つ剣士であり、俺と同じβテスト経験者のソロプレイヤーだ。ビルドは多分どちらかといえば筋力優位だ (基本的に相手のステータスを訪ねるのはマナー違反だ)が、その圧倒的な反射神経と判断力は他の追随を許さない反応速度を誇る。

 今回も、絶叫の直後には背中の剣を抜き放ち、そのまま単発片手ソードスキル、《バーチカル》を繰り出す。ニ十層クラスでは反則的とも言える威力の片手用直剣が鋭く振り落とされて、そのまま先頭をきって襲いかかったゴブリンを一刀の下に両断する。

 「なんだこりゃあああああああっ!!?」
 「キリト、すまんっ!!!」

 一気にキリトに殺到するゴブリン達を見つつ、俺は再び『隠蔽』スキルを発動、そのままゴブリン達のタゲをキリトになすりつける。これで俺は、『忍び足』さえしておけば、ゴブリン達にちょっかいを出さない限りは再度タゲられることはない。

 だが、まあ。

 (……このまま逃げたら、まずい、よなぁ……)

 不可抗力とはいえこのまま不幸な遭遇者が死んでしまう(ことは、まずないだろうが…)のは寝覚めが悪いし、そもそも俺は既にキリトに顔が割れてしまっている。逃げてもすぐに掴まってしまうだろうし、最悪俺が要注意プレイヤーとして手配されてしまう(なんてことも、キリトならしないだろうが…)も、可能性としてはありだ。

 叫びながらソードスキルを連発するキリトは、叫んでいるくせに全く危なげない。攻撃が途切れないように軽めの技を連発し、合間を縫ってのモンスターから突き出される剣や槍を回避する。直後、放たれる横薙ぎの一撃は、《スラント》。ブロックしようと剣の横腹でゴブリンが受け止めるが、そのあまりの威力に耐えきれなかった剣があっさりと砕かれる。

 (へぇ……。あんなこと出来るのか)

 武器に消耗度があることは実際使っていない俺も知っていたが、ああやって攻撃することでモンスターの武器を意図的に破壊できるとは、知らなかった。あいつが自分で見つけたんだろうか? キリトの奴のゲーム勘は、相変わらず凄い。

 (っと……)

 そんなことを思いながら、俺はゴブリンにぶつからないようにゆっくりと集団の後衛へと向かう。そこには、キリトに照準を定めようとする、数匹のゴブリンシューター。投げナイフしか持たないような相手にここまで肉薄していれば、たとえ攻撃力に不安の残る体術であっても手数で十分押し切れる。

 「やあああっ!!!」

 気合いをこめて叫び
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