暁 〜小説投稿サイト〜
シャンヴリルの黒猫
Chapter.1 邂逅
3話「泉の淵で」
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
している筈なの」

「へえ……。で、君はどうしてここにいるんだ? 許可を得た者なのか?」

 得意げに説明していたのに、その問いを投げかけると途端に、目を右往左往させてまごついている。……どうやら嘘がつけない性質らしい。

「君も不法侵入者、か」

「わ、私は強い召喚獣を得ようとして、魔力の満ちたこの森に来たのよ」

「ああ、それが行き過ぎて、さっきの飛竜ね」

 それにしゅんと俯く。それが久しく見ていない、生まれたばかりの魔獣の仔を連想させて、思わず頭をぽんぽんと叩いた。

「ま、無事に逃げられたんだし、いいんじゃないですか?」

「そ、そうよね」

 うんうん、とやや無理やりな気もするが頷いている少女を見て、俺は本題を投げかける。というか、そろそろ耐えられなくなってきたこの腹をどうにかするしかない。多分今俺は餓死寸前だ。いや、冗談抜きで。

「で、ちょっと、悪いんだけど……」

 それを意識し始めるともう駄目だ。ずるずると崩れ落ちるようにしゃがみ込みながら、だんだん小さくなる声で言った。少女の顔がきょとんとする。どうも思った事をすぐ顔に出す性分らしい。

「ちょっと……何か…飯…くれないかな……?」

「は?」

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ