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くらいくらい電子の森に・・・
第十一章
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一緒に部屋に帰ると、紺野さんが車輪のついた椅子に馬乗りになって、ふて腐れた顔でがさごそ移動していた。僕らに気がつくと、床を蹴ってすいーっと部屋の端まで滑った。

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「…何してんの」
「お前らこそ」
紺野さんはふて腐れてそっぽを向いた。
「長〜いトイレでしたねぇ。うんこ的なもの?」
「うんこでこれだけ長引いてたなら確実に体調不良だよね。もっと心配してよ」
「言い訳は聞きたくないのっ!」
「言い訳じゃなくて突っ込みだよ」
で、彼はちらっと柚木の方に目を走らせて、鼻を鳴らした。
「あーあー、退屈だったなぁー。DS持ってくればよかったなぁー」
「あ、あの…ごめんね?…そうだ、珈琲淹れてあげるから!」
…この人は大人のくせに、なんでそんなに1人にされるのがイヤなんだ。しかもあの柚木にまで気を遣わせるなんて。
「…で、何があった」
「何がって…」
「悲鳴が、聞こえてた」
「なのに助けにこなかったの!?」
「外に出たら、ビンタ的な音と柚木ちゃんの怒鳴り声が聞こえて恐ろしくなってなぁ…」
と、身をすくませてガタガタ震える仕草をやってみせた。
「ま、大丈夫だろうな、と」
「酷いな…流迦、さんに遭ったんだよ」
「流迦ちゃんに?仕方ねえなぁ。また脱走したのか」

『仕方ない、とはご挨拶ね』

紺野さんの胸元から『あの声』が聞こえてきて、思わずあとじさる。
「…仕方ねぇなあ、また割り込んできたのか」
ぶつぶつ言いながら胸元から携帯を取り出して開く。液晶に、艶々した黒髪が印象的なキャラクターが浮かび上がった。
「なんだ、流迦ちゃん。それやったらダメだと言っただろう」
「…流迦さんの、MOGMOG…?」
「いや、本体だよ。MOGMOGの鋳型を自分の意思で操作してるんだ。…で、どうしたんだ。姶良から聞いたぞ。また脱走したって?」
『うふふふ…いじめ甲斐のあるペットを見つけたんだもの』
ペットかよ…なんかキャラクター崩壊したなぁ、流迦、さん。こんなサディスト気質隠して僕に優しくしてたんなら、そりゃ暴発もするよな…
『なんか好きなのよ、あの子。…ねえ、ちょうだい』
「ほー、妬けるねぇ。代わりに俺じゃだめか。可愛がり甲斐あるぜ」
『だめ。もっと小さくて、綺麗で、目が黒い子がいいの』
紺野さんは僕のほうをちらちら見ながら、ニヤニヤしている。僕は腕を交差させて大きく×を作った。
「んー残念!ご指名のコは売約済みでございます」
『ふーん、まあいいわ。…それより紺野。そこ、もう危ないから』
紺野さんの表情が険しくなった。
「どういうことだ」
『ふふふ…2ちゃんねるは情報が早いの』
流迦ちゃん(のキャラクター)が、にんまりと笑った。
『…ねぇ、企業板ではあなた、もう容疑者扱いよ』
「ぐっ
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