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【完結】剣製の魔法少女戦記
第二章 A's編
第三十二話    『それぞれの思い』
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Side グレアム


クロノ達が退出した後、私は再び外を眺めた。
シホ・E・シュバインオーグ…異世界の魔術師。
その力はいまだ未知の部分が多い。
一部の上層部だけが知る事情だが次元の渦すらも消滅させる武装を持つ、今現在で敵に回してはいけない要注意人物。
だがその性格はいたって真面目。家族を、仲間を守る為に必死になれるその姿は好印象を抱かせる。
実際、彼女のことを悪く言う職員は一人としていないから信頼度は高い。
だがもしかしたらそれすらも計算に入れて冷静に物事に対処しているのかもしれない。だがそれでも守ろうとする気概は感じられる。
過去にどれほどの劣悪な環境を生きてきたか分からないが頭が回るようで先程の会話の時でも私との視線を一度も外していなかった。
どうやら少し警戒されているようだ。だがまだボロを出すわけにはいかない。
それに過去から続く闇の書事件で守護騎士達は大方顔が割れている。
だから私の娘達にも危ない橋を渡らした甲斐あってデータの改竄は概ねうまくいった。
それに今回、湖の騎士が姿を変装してくれたのはまさに僥倖だった。
シホ君は湖の騎士とその主とは顔見知りなのだからこちらとしてもありがたい事だった。

と、そこに娘達が部屋に入ってきた。

「大丈夫だったかね、ロッテ…」
「はい、父様…アリアの治癒魔法でなんとか腕は無事に済みました」
「でも正直防御魔法が展開されていなかったら絶対腕の焦げだけじゃなくて飛ばされていた…きっとあのユニゾンデバイスがあの娘の体を使って一時的に攻撃したからこれだけの被害だったと思います」
「そうか。しかしこれで当分の間、シホ君は戦闘には参加は不可能だろう。
しかし二人とも…いささかやりすぎだったぞ。もしかしたらシホ君は本当に死んでいたかもだったのだから」
「ごめんなさい、父様。でもあの娘が消えれば計画も順調にいくと思って…」
「ばか者…預言の件を忘れたわけではあるまい。まだ分からないがきっとシホ君こそ預言の示された人物だと私は睨んでいる。
それにシホ君はアースラの者達…それにまだ若い者達の中心人物的存在だ。だからこれでもし堕ちでもしたら全員の士気は激減…計画は台無しになってしまう」

そう、それだけは避けねばいけない。でなければ私のエゴでここまでついてきてくれた二人にさらに厳しい任務を与えることになってしまう。

「あの預言かぁ…ねぇ、父様。あんな娘に預言の通りの事ができるのかな。それにいつ起こるかも分からない曖昧なものなのに…」
「それでもだ。だから今後はシホ君にはあまり攻撃は当てないように頼むぞ」
「…はい、わかりました」

私は二人を叱る意味で睨みを効かせた後、二人を抱きしめた。

「…すまないな。お前達まで巻き込んでしまって…」
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