第九話「レイナーレ御一行、退場のお知らせ」
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待とうね」
走り出そうとするアーシアちゃんを止める。
「イッセーなら僕がなんとかするから大丈夫だよ。それよりもアーシアちゃんはここにいなさい。連れ去られちゃうよ?」
本当は僕が潰したいんだけど、それだとイッセーのためにならない。
イッセーは弱い。自分の身を守れない程に。悪魔になったのだからこの先、戦場に身を置くこともあると思う。なら、今は少しでも経験を積ませるのが得策だ。
獅子は可愛い我が子を谷底に突き飛ばせって言うしね。
ここには僕がいるし、前に施したアレもあるから死ぬことはないでしょう。
まぁ、ここまでと判断したら、問答無用で殺らせてもらうけどね。ニフフフフ……。
レイナーレちゃんが再び槍を投げる。今度はお腹を貫き、とうとうイッセーは前のめりに倒れた。
「一の力が二倍になったところで所詮は二。私とあなたの力量は天と地程の差があるわ。よくわかったかしら、下級悪魔くん?」
「くそ……」
それでも目に敵意と闘志を宿し、起き上がろうと足掻く。
「イッセーさん!」
我慢出来なかったのか、アーシアちゃんが駆け出しイッセーのお腹や太ももに治癒の光を当てた。
「アーシア、その悪魔を殺されたくなかったら私とともに来なさい。『聖母の微笑み』はそこの悪魔の神器と違って上級クラスの神器。あなたの神器は私たちの計画に必要なのよ。従わないなら、その悪魔を殺すわ。それも無惨に、残酷に、ね」
槍をイッセーに向ける。
「うるせぇ! 誰がテメェなんかに――」
「……わかりました」
「アーシア!?」
アーシアちゃんの決断にイッセーが驚きの声をあげた。
「私が行けば、イッセーさんは見逃してくれるのですね?」
「ええ。約束するわ」
「でしたら――」
「行っちゃ駄目だ、アーシア!」
「イッセーさん……」
泣きそうな顔でイッセーを、そして僕を見る。涙で揺れる瞳には確固たる意思が宿っていた。
――何がなんでも救うという、意志が。
「私、短い間でしたけど、イッセーさんとレイさんのお友達になれて嬉しかったです。今日一日、ありがとうございました。さようなら……」
「そういうことよ、悪魔くん。さて、帰りましょうかアーシア。今日の儀式であなたは苦悩の日々から解放されるのよ」
「はい……」
いやらしい笑みを浮かべるレイナーレ。絶対よくないことだよね、それ。
「――……レイ! 頼む! 俺の分までアーシアを守ってやってくれ!! 頼む……っ!」
屈辱と自分への不甲斐なさで歯を
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