暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
コロシアイ
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
動きを阻害しない完璧なコンビネーション。だが、その完璧なコンビネーションは、完璧になればなるほど避けやすい。

簡単な真理だ。

玄人になればなるほど、玄人には動きは筒抜けになるのだ。

相手になって考えれば、どこをどのように、どんな風に狙うかが自然と解かる。これさえ理解していれば、強敵になればなるほど当てやすいし、避けやすい。まあ、その逆で相手もそれを理解さえしていれば、この芸当はできるのだが。

ヴォルティス卿あたりは、アバターの筋肉の動きから三秒先の世界を見れると言われているが、真偽は不明。

閑話休題。

自慢の一撃を避けられた二人は、当然レンがもっとも恐れた動揺をし、喚く。

「何ィッ!?」

「………………ッ!?」

ジョニーとザザの動きが一瞬、戦闘の中では永遠とも思える一瞬止まる。

それをただ、レンは見る。《無》感情に、《無》感動に。

何も思わず、何も感じず。

ただ命を刈り散らすために、クロスさせるように両手を振り下ろす。

凶刃は狙いたがわず、かつ無慈悲に首に真っ直ぐ向かっている。

だが、レンのワイヤーは空を切った。掠りもせずに空を切った。

普通の者であれば、ここで醜い動揺をし、さも滑稽に体勢を崩す。だが、レンは何の表情も顔に出さずに、ただ《無》表情に、《無》感情に着地する。

音もなく着地し、じろりとPoHのほうを睨みつける。先刻のジョニーとザザの避け方は物理的に不可能だった。ならば、二人の戦いを傍観していたPoHの仕業以外に理由が思い浮かばない。

そして、レンの視界に黒ポンチョ野郎の姿が入る。

そして、レンは《ソレ》を視認する。

動揺しなかったといえば、さすがに嘘になるかもしれない。

なぜなら、ジョニーとザザをいまだ掴んでいる《ソレ》は、本来人間に生えることを赦された物ではないのだから。

《ソレ》は、PoHの背中から生えているそれは──

漆黒の翼だった。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ