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西部の娘
第一幕その三
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第一幕その三

「おや、またテキーラかい?あんたも好きだねえ」
 そこへ女の声がした。
「おお、やっと来たか」
 ランスはその声を聞くと笑顔で顔を上げた。
「うん、遅れて御免ね」
 その女も笑顔で返した。
 青い瞳に金色の波がかった長い髪を後ろで束ねた若い女である。整った顔は少し日に焼けている。西部の女らしく動き易い服に身を包んでいる。彼女がミニーである。このポルカの女主人である。
 彼女がどうしてここに来たか誰も知らない。気が付くとこの店を開いていた。ソレドートという町から来たとだけ言う。しかしそれ以外は何も語ろうとはしなかった。
 西部はこうした過去を持たない者が多い。中には罪を犯し逃れてきた者もいる。だが誰もそれについて尋ねようとはしない。今ここで生きている、それだけでいい。過去は問はない。それこそが西部の者達であり束縛の無い彼等にとって数少ない掟なのであった。
 ミニーはまだ若かった。二十に届くかどうかであろう。そうした若い娘がこうして西部で店を開いているのも普通では出来なかった。
 彼女は気が強かった。そして拳銃も扱えた。それにより襲って来た男達を逆に返り討ちにしたこともある。だがそれだけではなかった。
 彼女は気が強い反面心優しい娘であった。よく気がつき面倒見も良かった。その為男達はこの店に集まってくるのであった。
「一体何処へ行ってたんだ?」
 ランスは尋ねた。
「ちょっと教会まで」
「教会!?」
「ええ。聖書を貰いにね」
「聖書か。そういえばあんたは字が読めるんだったな」
 ランスはそれを聞いて言った。
「あんたも読めるんじゃなかったっけ」
「少しくらいはな。けれどあんたみたいにスラスラ読めるわけじゃない」
 彼はそう言うとテキーラをコップに入れた。
「大体俺に聖書は似合わんさ」
「あら、じゃあ何が似合うのよ」
「拳銃と・・・・・・」
 そしてミニーへ視線を向けた。
「あんただけだ」
 そう言うとニヤリ、と笑った。
「言うねえ、奥さんはどうしたの?」
「・・・・・・別れたよ、この前な」
「本当!?初耳よ」
「どうしてもというんならそこの二人に聞いてくれ」
 ランスはニックとソノーラを指差して言った。
「本当?」
 二人はミニーの問いに黙って頷いた。
「そういうことだ。もう俺は自由なんだ」
 彼は少し寂しく笑って言った。
「俺はカンザスを出てから随分経つが結局家も女房も思い出したことはない。だから別れてもそんなに寂しくはない。女房の親父には頭にきているがな」
 そう言うと言葉を続けた。
「だがこことあんたは別だ。俺はもうポルカとあんた抜きでは生きてはいけない」
「言ってくれるねえ。悪い気はしないわ」
 ミニーは微笑んで言った。
「おい、俺は本気で言ってる
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