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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
六王の対応
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ということは不変である。不変、ということは必然であり、必然ということは偶然である。

よって《バケモノ》が《ヒト》を殺すのは、ただの偶然ということになってしまう。

そんなことはない。

あれが偶然で片付けられて堪るものか。

そう思いながらレンは左手を振り、メインメニューウインドウを呼び出す。

装備欄に指を走らせ、次々といつもの装備アイテムをタップしていく。

身体が青白いライトエフェクトに包まれる。

それが空中に溶けるように消えた時、そこにはいつもの格好。漆黒のマフラーに血色のフードコートを着たレンがいた。

「よしッ!」

軽くコートの裏に隠れるようなくらい小さなポーチの中身を確認する。

転移結晶三個、回復結晶二個、回復ポーション四個………

全ての個数を確認し、レンは扉を開ける。

目指すは六十一層主街区【ミンヘイ】、その中心に聳え立つ《尖白塔(せんぱくとう)》で開かれる六王会議。議題はもちろん──

殺人(レッド)ギルド、【笑う棺桶(ラフィン・コフィン)】討伐についてだ。










殺人(レッド)ギルド【笑う棺桶(ラフィン・コフィン)

ソードアートオンラインという名のこのデスゲームが始まった初期から、食い詰めたあげく他のプレイヤーから(コル)やアイテムを奪い取る犯罪者(オレンジ)プレイヤーこそ存在したが、その手口は多人数で少数を囲んで一方的トレードを強要したり、せいぜい麻痺毒を使用したりといった範囲に留まっていた。

実際の攻撃によってHPバーを全損させれば、そのプレイヤーは現実世界でも本当に死んでしまうわけで、そこまでの行為に手を染める覚悟のある者はいなかったのだ。なぜなら、約一万人のプレイヤーは基本的に全員重度のネットゲーマーで、現実世界での犯罪とは無縁に生きてきた人間達ばかりだったからだ。

その、《HP全損だけはさせない》という不文律が破られたのは、たった一人の異質なプレイヤーの出現ゆえのことだった。

男の名は《PoH(プー)》。

ユーモラスな響きのキャラネームだが、意外にも──あるいはだからこそ、奴はある種の強烈なカリスマを備えていた。

その理由の第一は、PoHがエキゾチックな美貌を持ち、また少なくとも三ヶ国語を操るマルチリンガルだったということだ。

おそらくは日本人と西洋人の混血だったのだろうが、日本語に流暢な英語やスペイン語のスラングの混じる、まるでプロDJのラップのような奴の喋りは、周囲に集まるプレイヤー達の価値観を容易に染め変えていった。

ネットゲーマーから、よりクールでタフでリアルでクレイジーなアウトロー集団へと。

そして第二のカリスマ性は、単純にPoHの強さだ。

奴の短剣(
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