暁 〜小説投稿サイト〜
故郷は青き星
第二十三話
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「何だこれは?」
 ログアウト処理中を示す画面効果の最中に突然、ウィンドウがポップアップし『エルシャン司令官よりメールを受信しました。確認しますか? Y/N』というメッセージが現れる。
 今までに無かったタイミングのメール受信に戸惑いながらも柴田は『Y』を選択した。
『こんにちは。プレイヤーの皆が一度は耳や尻尾を触りたいと言う欲望を密かに抱かずにはいられないエルシャンです』
「本当に何だこれ?」
 僅か2行のメールの1行目で柴田の心が折れそうになる。
『ログアウト中に申し訳ありませんが、もしよろしければ3分間程時間をいただけないでしょうか? Y/N』
「……とりあえずイエスだな」
 柴田が『Y』を選択すると、新たなウィンドウにメッセージが現れる。
『それではログアウト処理を一時中断して、皆様が大好きなブリーフィングルームにご招待いたします』
 柴田が「はいはい大好き大好き」と呟くと同時に周囲の景色が入れ替わる。
 そこは久しぶりのエルシャンと1対1の対面タイプのブリーフィングルーム。通称『説教部屋』だった。
「ようこそ説教部屋へ。説教部屋へようこそ」
 エルシャンが変なポーズをとりながら挨拶を決める。
「悪いが俺の3分間はちょうど今、過ぎたみたいだ。帰らせてもらう」
 柴田がメインメニューを呼び出すが、まるでデスゲームが開始したみたいにログアウトの項目が見つからなかった。
「3分間は今からスタートと言う事で、よろしくお願いします」
 深々と頭を下げるエルシャンに、柴田は「糞っ」と短く毒づくと椅子に腰をかけた。
「では手短に、これからDSWOは大型のアップデートをする予定で、そのために特別なテストを君を含めた優秀なパイロットに受けてもらいたいのです」
「大型アップデートね……」
 興味なさそうに呟きながら、その実「大型アップデート」という魅惑のキーワードに内心は浮き足立っていて、つい「OK」と条件も聞かずに答えてしまいそうなくらいだった。
「はい。そこで来週の三連休に極秘に講習会を開き、アップデートやテストの内容をお知らせする予定なのですが、柴田様は参加可能でしょうか?」
「来週の三連休……泊りがけで?」
「はい、申し訳ありません。その代わりに参加された方には報酬として1日3万円を支払う予定です」
「3万!」
 大学生の柴田、いや芝山にとって3万円──2030年は2013年時と比較して1.4倍の物価上昇(世界の景気が長期上昇傾向に入ったと想定し年2%の物価上昇で算出)している──は大きい。しかも1日で3万なら3日で9万円……『うまい。話がうま過ぎる!』芝山は騙されている可能性を疑う。『今時の大学生は簡単には詐欺られないんだよ!……しかし、しかし、美味しい話だ』と悩む。
「はい。初日の詳細の説明を行った後で、テ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ