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SAO編−白百合の刃−
SAO31-スズナの涙
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「プレイヤーの精神性に由来するトラブル、それだけはシステムでは解決できませんでした。そのために数十人規模のスタッフが用意される予定だったんです。ですが、カーディナルの開発者達はプレイヤーのケアすらもシステムに(ゆだ)ねようと、あるプログラムを試作しました。ナーイヴギアの特性を利用してプレイヤーの感情を詳細にモニタリングし、問題を抱えたプレイヤーのもとを訪れて話を聞く。それが……『メンタルヘルス・カウンセリングプログラム』MHCP試作一号、コードネーム『Yui』」
「ユイ? ユイちゃんのこと!?」
「やっぱり貴女は、ユイと同じということね」

 スズナとユイちゃんが私達と同じプレイヤーではないことを、もしかしたら機械でできたものなのかだと、そんな信じがたい話を信じたくはなかった。
 スズナも言っていた『メンタルヘルス・カウンセリングプログラム』と言うことの意味を含めて訪訊ねると、スズナは悲しそうな目で見つめていた。

「ユイは人間の関係で言うならば、私の妹にあたります」

 それは驚いた、が……境遇が似ていたので理解はできた。

「ですが、わたしはユイと比べればほぼ未完成に近く開発者達からは『旧データ』と呼ばれています」
「『旧データ』……」

 いわゆる試験用とか没案のようなものだろう。ぶっちぇけイマイチ実感が沸かない。

「スズナの役割ってなに?」
「それはですね、キリカ様。わたしの役目はヘルプアイテムとして、歌でモンスターを退却させるアイテム用と、歌で人の精神を抑える『メンタルヘルス・カウンセリングプログラム』の試作、MHCP試作零号、コードネーム『Suzuna』というプログラムAIなんです」

 ……やっぱりどう見たって、スズナは感情に貧しいが人間にしか見えない。それを未完成だとは思えなかった。いったいなにが駄目なのよ。
 なんか……スズナが駄目みたいで、なんか嫌だった。

「ユイにはプレイヤーに違和感を与えないように、感情|模倣(もほう)機能が与えています。ですが、わたしには未完成故にその機能が活かしきれていません。わたしにはキリカ様やドウセツ様のように、喜怒哀楽と言う表情を豊かに表すができません」

 スズナが言う通りに記憶が戻っても、いつもと変わらない無表情に近い表情をしていた。そのことを伝えなければ、いつもと変わらない様子だと誤解する人もいるはずだ。でも、ないわけではない。それは感情が貧しいだけで、彼女に涙はないが泣いているような気がした。
 私はそっと歩み寄ると、スズナは一歩引いて首を振った。まるで、温もりを拒むようにそんな資格はないように……。

「……貴女がプレイヤーではないことは思っていた」
「ドウセツ様なら、お気づきになると思っていました」
「だけど『旧データ』
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