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【旧】銀英伝 異伝、フロル・リシャール
第3次ティアマト会戦(3)
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った。だが、現在同盟軍は3個艦隊全体で帝国2個艦隊を攻撃している。熾烈な死の応酬の中で、1個艦隊を転進させるのは、容易なことではなかった。
「第4艦隊に伝達じゃ。後方に下がりつつ、右舷回頭。敵、精《・》鋭《・》部《・》隊《・》からの攻撃に備えろ、とな」
 ビュコックは余裕すら感じさせる笑みを浮かべ、そう言った。通信兵がすぐにそれを復唱し、通信機にしがみつく。
「では第10艦隊と我が艦隊が??」
「??困難であろうが、ここで挟撃をされるのは防がねばならん」
 ビュコックはゆっくりと立ち上がった。それに気付いた者が、皆彼に目をやった。
「 第5艦隊及び第10艦隊はこれより前方の帝国軍へ徹底的な攻撃をしかける! ここよりこの戦いは防衛戦ではないと考えよ! ここで押し切って、我が軍は初めてこの戦いで勝ちを得るのだ、とな!」
 年齢を感じさせぬ大声だった。艦橋は一瞬の沈黙が支配し、次の瞬間には兵の呼応する声で溢れかえった。
 にやり、と笑って再び指揮席に座るビュコックを見て、フロルは内心のざわめきを抑えきれなかった。これが、同盟最高の老将なのだ、と実感していたのだ。敵の急襲に浮き足立った艦隊の雰囲気が、あの大声一つで一気に変わるのを、フロルは感じていたのである。
??大した爺さんだ。

 1800時、戦局が大きく変わった。





















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