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星河の覇皇
第一部第五章 電撃作戦その一
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。その通りであった。
 これがアッディーンの狙いであった。敵の艦隊に紛れ込むことで敵にビーム砲を撃たせなかったのだ。
 敵が手をこまねいている間にもアッディーン達は突き進んだ。そして要塞に貼り付いた。
「よし、陸戦隊突入せよ!」
 その言葉に従い厚い装甲に身を包んだ兵士達が要塞内に切り込む。そしてその中を瞬く間に占拠していった。
 ビーム砲にその防御の殆どを頼んでいたうえに不意を衝かれた彼等はオムダーマン軍陸戦隊の敵ではなかった。彼等は戦うよりも降伏する方を優先させた。こうしてサダム要塞は陥落した。
 彼等はそのまま進んだ。そして今度は首都の前にあるリクード要塞の前に来た。
 この要塞は長大な壁を持つことで知られている。その壁で首都を守っているのだ。
 後方には敵艦隊が迫っている。領内を急襲された彼等は国境に最低限の兵を置いたうえで慌てて急行してきたのだ。
「閣下の軍への備えを最低限にしてか。また思い切ったことをするな」
 アッディーンは敵艦隊があと三日の距離まで達したという報告を聞いて思わずその言葉を口にした。
「その危険を冒してでも戻って来なくてはまずいでしょう。何せ首都が危ないのですから」
 ガルシャースプはアッディーンに答えるように言った。
「ほう、あの要塞があるのにか?」
 アッディーンの顔は目の前にある長大な壁の防衛線に向けられていた。
「そういう問題ではないでしょう。今我々がここにいることが問題なのです」
「どのみち一緒だがな」
 アッディーンはそう言って笑った。
「今から俺達は首都に突入するのだからな」 
 そう言うと全艦に突撃を命令した。
 彼等は突撃を開始した。といっても正面に突撃したのではない。
 まずは大きく迂回した。そして壁の一番下の端の部分に向かった。
「全艦一斉射撃!」
 アッディーンの命令が下される。彼等はそれに従い壁に向けて総攻撃を開始した。
 五千隻もの艦艇が一斉に攻撃を開始したのである。それも一点に。彼は敵の防御の最も弱い点を見抜きそこに総攻撃を仕掛けたのだ。
 壁は崩れた。アッディーンはそれを見逃さなかった。
「よし、入るぞ!」
 敵が守りを固めようとするのより早く動いた。そして要塞の中に侵入した。これで決まりであった。
 これでリクード要塞も陥落した。アッディーンはそのまま首都へ突入した。
 敵の姿を見たカジュール政府は肝を潰した。そして国民と彼等の身の安全の保障を条件に降伏を申し出てきた。
 アッディーンはこれを快諾した。こうしてカジュール公国は僅か二十日でオムダーマンの前に滅びた。
 この戦いの最大の功労者は当然アッディーンであった。彼は中将に任ぜられると共にこれまで彼が持っていた艦隊と旧カジュールの軍を新たに加えたカジュール駐留艦隊の司令官となった。
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