暁 〜小説投稿サイト〜
【旧】銀英伝 異伝、フロル・リシャール
薔薇の騎士連隊
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

薔薇の騎士連隊

 フロル・リシャールは薔薇の騎士連隊が使っている建物にやってきた。彼は連隊員の見定めるような視線の中、一人、オットー・フランク・フォン・ヴァーンシャッフェ大佐のところへ向かった。無論、新たな基地副司令として挨拶をするためである。
 ふと目をやるとトランプをしていた4人組がいた。恐らくローゼンリッターの最強カルテットだろう。なるほど、シェーンコップはカリンの面影に重なるものがある。

 連隊長室に入ると、いかにも、という風格のある人物がいた。
 フロルは敬礼をする。
「フロル・リシャール中佐であります。本日より基地副司令代理を拝命いたしました」
「オットー・フランク・フォン・ヴァーンシャッフェ大佐だ」
 彼も答礼する。
「私は前任の大佐に代わって、この職に就いたもので、階級としてはヴァーンシャッフェ大佐よりも下であります。ですが、基地防衛に際しては指揮権の統一を図るため、私の元、司令部で統一したいと考えていますが、よろしいでしょうか」
 大佐は少し面食らったような顔をし、それから小さく頷いた。
「貴官はなかなかに面白い男だな。面と向かって指揮権を邪魔するな、とはなかなか勇気あると思うがね」
「は、というのもセレブレッゼ中将はその点で悩んでいまして、私がその折衝役に任ぜられたわけです。大佐殿には不服な点もありましょうが、一応快諾していただけませんでしょうか」
「しょうがないだろう。承知した」
「は、ありがとうございます」

 大佐はそれで話が終わったかのように、視線を改めて手元の書類に戻した。
「あ、あと大佐殿」
 それでもう一度、目線を上げることになったのだが、その目には訝しげな感情が映っていた。
「実は一つお願いがあるのですが……。といってもこれは個人的なお願いに属するものでして……」
「なにかね?」
「私に、ローゼンリッターの訓練の参加をご許可いただきたいのです」
「我が連隊の訓練に参加したい?」
 大佐はまるで笑えない冗談を聞いたような顔で、繰り返した。
「ええ、小官は士官学校に出てからまともな白兵戦を経験せず、艦隊勤務ばかりしてきました。おかげで体が鈍ってしまいましてね。同盟随一を誇るみなさんと訓練すれば、多少なりともその勘を取り戻せるかと」
「貴官は……本当に面白い男だな。帝国の亡命者ばかりが集う我が隊に、そこまで関わろうというのかね」
「ええ、まぁ。今は同じ旗を仰いでいるのですから、そこを信じないという発想はありません。で、許可して頂けますでしょうか」
 フロルは改めて頭を下げた。大佐は少し思案したようだが、このように面倒なことがあったときには、あの面倒な男に任せれば良い、と考えたのである。彼は手元の端末で、ワルター・フォン。シェーンコップ中佐を呼び出した。
「ワルター
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ