暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第七部第四章 名将と老将その二
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「そうしたらその生活が合っていまして。軍隊というものが私に合っていたのでしょう」
「それは何より」
 どうしても適性というものがある。軍というものは特にそれが大きい。彼が軍に合っていたというのはそれだけで幸運なことであった。
「気がついたら今ここにいるわけです。いやあ、運がよかった」
 彼は軍人としては有能であった。海賊退治で功を挙げこうして連合軍統合作戦本部長にまで昇り詰めたのであるから。もっとも彼をその職に就けたのは八条であるが。各国の軍人達を調べている時にモンゴル軍元帥である彼のことを聞きすぐに統合作戦本部長に決定したのだ。
「運ですか」
「ええ」
 彼は答えた。
「何事も運がないと。実力だけではどうにもならない時があります」
「それは確かにありますね」
 八条もそれはわかっていた。
「しかし運に頼るつもりはありません」
「ほう」
 バールの言葉に目の光を変えた。
「運はあくまでプラスアルファです。それ以外のものではありません」
「つまり重要なのは実力であると」
「そう、そこにその運が加わるのですよ。少なくとも私はそうしたものだと考えています」
「それはわかります」
「ですが長官の御考えは少し違うようですね」
「わかりますか」
「ええ」
 それはバールにもわかっていた。
「どの様な状況においても必ず勝てる、そして損害は最小限に。そうした戦いを望まれているようですな」
「はい」
 八条はそれを肯定した。
「その通りです」
「やはり」
 バールはそれを聞いて納得したように頷いた。
「軍の編成や後方支援、兵器等を見るとそうですね」
「確かに戦争において運は大きな要素ですが」
 八条は自説を述べはじめた。
「それは不運もあります。その不運がこちらに来ても勝てる状況にしておかなくてはなりません」
「それは私も同意です」
 だが二人は根本で何かが違うようである。それは何か。
「ただ、いざという時に運がないと大変なことになる場合もあります」
 これであった。バールはあくまで戦場を見ている。そして八条は政治のうえでの戦争を見ているのだ。これはバールが軍人であり、八条が政治家となっていたからである。軍人と文民では戦争に対する見方も違ってくるのである。
 その為バールは運を重要視する。戦場において欠かせないものであるから。
 八条はそうした要素があまりかからないような状況を目指す。それが政治家の考えであった。だが八条は元々は軍人でありそのこともわかっていた。それが他の政治家とは一味違っていた。
「それはわかります」
 ここで同意する言葉を述べた。
「その辺りは本部長にお任せします」
「はい」
 バールはそれを受けて微笑んで応えた。精悍な笑みであった。
「ステッラへの作戦ですがあの二人
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ